2か所の会社で働き、どちらでも厚生年金保険の加入要件を満たしたとき、保険料はどうなるのか。

日本年金機構によると、それぞれの事業所で受ける報酬月額を合算した月額により標準報酬月額を決定し、その保険料額を各事業所の報酬月額に基づき按分する仕組みです。

この記事では2か所で加入したときの合算と按分、そして10日以内という届出の期限を確認したうえで、転職の前後に起きる保険料の重複と還付の話を見ていきます。

1. 【厚生年金】2か所で加入すると、報酬を合算して保険料を決める

掛け持ちで働く場合、どちらか一方だけに加入するわけではありません。2つの事業所の報酬をまとめて扱う手続きが用意されています。

1.1 まず「主たる事業所」を1つ選ぶ

日本年金機構は、被保険者が同時に2か所以上の適用事業所に勤務する場合について、主たる事業所を選択して管轄する年金事務所または保険者等を決定すると説明しています。

2か所で加入していても、年金の記録や通知をまとめて扱う窓口は1つに決めるということです。選んだ事業所の所在地を管轄する事務センターから、各事業所へ通知が発送されます。

2か所で加入したときは報酬月額を合算し、決まった保険料額を各事業所の報酬月額で按分する1/2

厚生年金保険で2か所以上の事業所に勤務するときの主たる事業所の選択、報酬月額の合算、保険料の按分と届出の流れを示した図

出所:日本年金機構「複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き」をもとにLIMO編集部作成

1.2 報酬月額を合算して等級を決める

標準報酬月額の決め方も、1か所で働く場合とは違います。

それぞれの事業所で受ける報酬月額を合算した月額により、標準報酬月額が決定されます。片方だけの金額で判定されるのではなく、2つを足した金額で等級が決まるということです。

したがって、それぞれの勤務先の報酬が単独では低くても、合算すると等級は上がります。1か所で同じ報酬を受けている人と、負担の考え方はそろえられている形です。

逆に言えば、2か所目で働き始めた月から標準報酬月額が上がることになります。片方の給与だけを見て保険料の見当をつけると、実際の控除額とずれる可能性があります。

1.3 保険料は報酬月額に応じて按分される

合算して決まった保険料額は、そのあと2つの事業所に振り分けられます。

日本年金機構の説明では、決定した標準報酬月額による保険料額を、それぞれの事業所で受ける報酬月額に基づき按分して決定します。

報酬の多い事業所が多くを、少ない事業所が少なくを負担するという配分です。どちらか一方の給与から全額が引かれる形にはなりません。

1.4 届書の名称は「被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」

この手続きには専用の届書があります。

名称は「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」です。提出先は、選択した事業所の所在地を管轄する事務センターまたは年金事務所になります。

提出方法は電子申請、郵送、窓口持参の3つが案内されています。エクセルの様式も用意されています。

1.5 提出するのは本人。期限は10日以内

ここが見落とされやすいところです。

提出者は被保険者本人で、提出期限は事実発生から10日以内とされています。厚生年金保険の手続きは事業主が行うものが多いなかで、この届出は本人が出すという扱いです。

2か所目の勤務が始まったら、10日という短い期間のうちに自分で動く必要があるということになります。

届出が遅れると、合算後の標準報酬月額が決まるのも遅れます。あとから正しい額に直す処理が入るため、給与の控除額が一時的に実際と合わない状態が続くことになります。

1.6 健康保険の側にも手続きがある

年金だけで終わらない点にも注意が必要です。

すでに全国健康保険協会(協会けんぽ)の被保険者である方が、引き続き協会けんぽに加入する事業所を選択する場合は、被保険者整理番号が新たな番号に変更となります。

加入先が健康保険組合の場合は、その組合にも別途手続きが必要です。資格確認書や限度額適用認定証などが交付されている場合は、添付書類として求められます。

1.7 マイナンバーを記載するときの添付書類

本人が出す届書なので、必要な書類も自分でそろえることになります。

マイナンバーを記載して提出する場合、窓口へ持参するときはマイナンバーカードが必要です。郵送するときは、マイナンバーの確認書類と身元確認書類のコピーを添えます。

また資格確認書、高齢受給者証、特定疾病療養受療証、限度額適用認定証が交付されている場合は、添付書類として求められます。手元にあるものを先に確認しておくと、10日以内という期限に間に合わせやすくなります。

1.8 共済組合の適用を受ける場合の特例

働き先の組み合わせによっては、選択の自由がありません。

被保険者が国・地方公共団体等の短時間勤務職員で、共済組合制度の適用を受ける場合は、国等の事業所を選択する必要があります。厚生年金基金の加入者は除かれます。

自分がどの組み合わせに当たるのか分からない場合は、選択しようとしている事業所を管轄する年金事務所にご確認ください。

なお、保険料の重複と還付の仕組みや、国民年金と厚生年金の保険料の違いに関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。

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