3. 「リ・バース60」とは何か

「リ・バース60」は、満60歳以上の方を対象に、自宅などの不動産を担保として資金を借り入れる住宅金融支援機構のローン制度です。一般的な住宅ローンとの大きな違いは、毎月の返済が利息のみで済む点にあります。

借り入れた元金は、契約者が亡くなった後に、自宅を売却するなどの方法で一括返済する仕組みになっています。

資金の使い道は住宅に関するものに限られており、自宅の建て替えやリフォーム、住宅ローンの借換え、サービス付き高齢者向け住宅への入居費用などに利用できます。契約時には、亡くなった後に自宅の売却額が融資残高に満たない場合の取り扱いについて、遺族に不足分を請求しない「ノンリコース型」と、請求する「リコース型」のいずれかを選択します。

4. 2025年度の利用実績が示す利用者の実像

住宅金融支援機構が公表した「【リ・バース60】の利用実績等について(2026年1月~3月及び2025年度分)」によると、制度開始からの累計申請件数は1万696戸、融資金額は約1695億円にのぼります。

2025年度の利用者像を見ると、平均年齢は70.1歳、平均年収は404万円、平均融資額は1561万円、毎月の利息支払額は平均4.6万円でした。申込者の職業別では、年金受給者が58.4%と半数を超え、会社員19.7%、パート・アルバイト5.6%、会社役員4.9%、個人事業主4.8%と続きます。

「リ・バース60」利用者のリアル(2025年度実績)4/4

「リ・バース60」利用者のリアル(2025年度実績)

LIMO編集部作成

和田 直子
利用者の6割近くが年金受給者という結果からは、現役時代の収入がなくなった後も、毎月の返済を利息のみに抑えられる仕組みが選ばれていることがわかります。ただし利息は毎月発生し続けるため、無理のない返済計画を立てておくことが欠かせません。

5. 金利上昇局面で「全期間固定金利」の選択が急増

近年の金利上昇を背景に、利用者の選択にも変化が出ています。

全期間固定金利タイプの申請戸数は、2024年度の10戸から2025年度には120戸へと、12倍に増加しました。

将来の金利変動リスクを避けたいという利用者のニーズが強まっているとみられます。

また、ノンリコース型の選択率は2025年度で99.8%、2026年1~3月期には100.0%に達しています。

自宅の売却額が融資残高に満たなくても遺族に不足分の返済を求められないノンリコース型は、家族に負担を残したくないと考える利用者にとって、ほぼ標準的な選択肢になっていることがうかがえます。

6. 利用を検討する際に確認しておきたいこと

「リ・バース60」は自宅に住み続けながら資金を確保できる一方で、契約者が亡くなった後は自宅が売却などの対象になるため、事前に家族と話し合っておくことが重要です。特に、自宅を将来相続する予定の家族がいる場合は、契約前に制度の仕組みと影響について共有しておくとよいでしょう。

また、ノンリコース型かリコース型か、固定金利か変動金利かといった選択によって、毎月の負担額や将来のリスクが変わってきます。契約前に住宅金融支援機構や取扱金融機関の窓口で、複数のシミュレーションを確認しておくことをおすすめします。

和田 直子
「リ・バース60」は住宅を担保にする以上、家族全体に関わる決断になります。契約者本人だけで判断せず、可能であれば家族も交えて、住宅金融支援機構や金融機関に直接相談する機会を持つことをおすすめします。

7. まとめ

年金だけでは老後の生活費をまかないきれない世帯が少なくないなか、「リ・バース60」は自宅を活用しながら資金を確保する方法の一つです。

2025年度の実績データからは、年金受給者を中心に利用が広がっていること、そして金利上昇を背景にリスクを抑えた選択が増えていることが読み取れます。制度の仕組みとリスクを理解したうえで、家族とも相談しながら検討することが大切です。

参考資料

和田 直子