2025年4月に施行された改正育児・介護休業法により、40歳を迎えた従業員に対する「介護休業制度等の個別の情報提供」が企業に義務付けられました。2026年現在、企業で働く多くの方が、自らの働き方と家族の介護の両立について考える機会を持たれていることでしょう。介護はいつ誰に訪れるかわからないからこそ、元気なうちにお金と公的制度の仕組みを知っておくことが、ご自身とご家族の未来を守る大きな力になります。
受け取れるお金について考えるときは、制度の名前だけでなく、ご自身の仕事や家族の状況に合うかを確かめたいところです。介護休業給付金、高額介護サービス費、家族介護慰労金を順に見ていきます。
本記事では、制度の違いを押さえながら、ご自身や家族の状況と照らして確認したい点を紹介します。あわせて、家族などが代理で年金相談をする際の準備についても見ていきます。
なお、介護休業給付金、高額介護サービス費、家族介護慰労金と家族による相談の準備に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。
介護が始まると、家族が本人に代わって相談する場面も考えられます。まずは自分や家族の状況を整理し、どの制度や手続きが関係するかを確かめてみましょう。金額だけで判断せず、利用するための条件や準備することを順に確認しておくと安心です。
また、制度によって相談先や申請時期が異なるため、事前に調べ、確認をしておきましょう。
1. 働きながら介護を続けるための「介護休業給付金」
家族の介護に向き合うときは、介護を受けるご本人だけでなく、支える家族の仕事や収入にも目を向ける必要があります。介護を理由に仕事を辞めてしまう「介護離職」を防ぐための重要な制度が「介護休業給付金」です。
介護休業給付金は、家族の介護のために休業した際、一定の条件のもとで収入を補ってくれる雇用保険の制度です。対象となる家族(配偶者、父母、子、祖父母、兄弟姉妹など)1人につき、通算して93日まで、最大3回に分けて取得することができます。
国や自治体の給付金や補助金もこれと同じで、基本的には「申請」がセットになっています。
気になる給付額ですが、原則として「休業開始時賃金日額(休業前の1日あたりの賃金)×支給日数×67%」で計算されます。つまり、休業前の賃金のおおむね67%相当が支給される仕組みです。ただし、この金額には上限が設けられており、際限なく支給されるわけではありません。また、雇用保険に一定期間加入していることなどの条件もあります。
仕事を休む期間の暮らしを考える際には、このような給付があることを把握しておくと、経済的な不安を和らげることができます。介護は突然始まることが多いため、いざというときに慌てないよう、元気なうちから勤務先やハローワークでの申請ルートを確認しておくのがよいでしょう。企業からの個別周知の機会なども活用し、前もって流れを把握しておくことが大切です。
2. 毎月の費用負担を軽くする「高額介護サービス費」
介護保険サービスを利用し始めると、毎月の利用料の自己負担が少しずつ家計に重くのしかかってくることがあります。そんなときに知っておきたいのが「高額介護サービス費」という制度です。
これは、同じ月に利用した介護保険サービスの自己負担額の合計が、あらかじめ定められた限度額を超えた場合、超えた分が払い戻される仕組みです。医療保険の高額療養費制度(医療費が一定額を超えたら戻ってくる制度)の介護版と考えるとわかりやすいかもしれません。
負担の限度額は、ご本人の所得や世帯の状況によって細かく区分されています。一般的な所得の世帯であれば、月額の限度額は4万4400円に設定されています。一方で、現役並みの高い所得がある方の場合は限度額がこれよりも高く設定され、住民税非課税世帯などの所得が低い方の場合はさらに低く設定されるなど、負担能力に応じた配慮がなされています。
施設への入所や、在宅での頻繁なサービス利用などで費用がかさむ場合、この制度は家計を圧迫しないための重要なセーフティーネットとなります。ただし、施設での食費や居住費、差額ベッド代、福祉用具の購入費などはこの制度の対象外となるため、注意が必要です。毎月の負担と制度の限度額を分けて考え、払い戻しが受けられる対象費用かどうかを確認する習慣をつけましょう。

