3. 自治体独自の支援制度「家族介護慰労金」
介護保険サービスを利用せずに、ご自宅で重度の高齢者を介護しているご家族に対して、自治体が独自に支給する慰労金制度があることをご存知でしょうか。それが「家族介護慰労金」です。
この制度は、介護保険サービスを利用しないことで抑えられた社会保障費の一部を、家族の労いに還元するという意味合いを持っています。支給額は年間10万円程度とされる例が見受けられますが、要件は非常に厳しく設定されていることがほとんどです。
たとえば、「要介護4や5といった重度の状態であること」「過去1年間、介護保険サービス(ショートステイなど一部を除く)を一切利用していないこと」「住民税非課税世帯であること」など、自治体ごとに細かな条件が定められています。
また、この制度は全国一律で実施されているわけではなく、お住まいの市区町村によっては制度自体が存在しない場合もあります。そのため、名称だけで「自分の家族も受け取れる」と安易に判断するのは避けましょう。まずは、お住まいの自治体で制度が実施されているか、そしてご自身の状況が支給要件を満たしているかを、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに相談して確認することが出発点となります。
4. 家族が代理で年金相談をする際の3つの準備
介護が始まると、ご本人が体調不良や認知機能の低下により、年金事務所や街角の年金相談センターへ直接出向くことが難しくなる場合があります。その際には、ご家族やご友人が代理で年金相談を行うことが認められています。
代理の方がスムーズに相談を進めるためには、事前の準備が欠かせません。具体的には、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
4.1 ①本人の委任状の作成
年金に関する情報は大切な個人情報です。そのため、本人の意思を確認するための「委任状」が必須となります。日本年金機構のウェブサイトから「年金相談・手続き委任状」の用紙をダウンロードして印刷し、原則としてご本人(委任者)が自筆で記入する必要があります。手が不自由で代筆が必要な場合などは、日本年金機構の案内に沿って手続きを行いましょう。
4.2 ②基礎年金番号がわかるものの持参
窓口で相談対象者を特定するため、委任者の「基礎年金番号」または「マイナンバー」が必要です。年金手帳や基礎年金番号通知書、年金証書などを忘れずに用意しておきましょう。
4.3 ③代理人の本人確認書類の持参
窓口に来た方が本当に代理人であるかを確認するため、運転免許証やマイナンバーカード、パスポートなど、顔写真付きの公的な本人確認書類の提示が求められます。
これらの書類に不備があると、せっかく窓口へ足を運んでも具体的な個人情報に基づく相談ができない可能性があります。事前にしっかりと確認し、漏れのないように準備を整えておきましょう。
5. まとめにかえて
今回は、介護休業給付金、高額介護サービス費、家族介護慰労金と家族による相談の準備について紹介しました。
給付は年齢だけで決まるわけではなく、働き方や家族の状況なども関わります。対象要件と金額を分けて整理しておくことが大切です。
また、家族などが代理で年金相談をする際の準備も確認しました。目の前の支給要件と、これからの暮らしの備えをつなげて考えていきたいですね。
家族の介護が始まると、本人に代わって年金の相談に出向くこともあるでしょう。
制度の名前や平均的な金額だけで判断せず、自分と家族の状況に照らして読み進めてみてください。まず対象になる条件を整理し、次に金額の見方や必要な手続きを確かめると、確認すべきことが分かりやすくなります。家族でも年齢や働き方、所得などは異なるため、同じように当てはまるとは限りません。届いた書類や案内を見ながら、今の暮らしに関わる項目を順番に押さえましょう。これからの備えも含めて、身近なことから確認を進めていきたいですね。
また、介護に対しての不安をより軽減したい場合には、保険といった方法でも備えることができます。
ご自身や家族の暮らしに照らし合わせながら、必要な確認を進めてみてはいかがでしょうか。
ご自身や家族の暮らしに照らし合わせながら、必要な確認を進めてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省「サービスにかかる利用料(介護保険の解説)」
- 厚生労働省「離職されたみなさまへ」
- 厚生労働省「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます」
- ハローワーク「介護休業給付の内容及び支給申請手続について」
- 日本年金機構 年金Q&A「本人が年金の相談に行けないとき、家族や友人が代わりに相談に行ってもいいですか。」
- 日本年金機構「記入例 委任状」
長井 祐人
