2. 50代に多い「何から手をつければいいか分からない」への不安。ファイナンシャルアドバイザー・奥田朝が伝えたいこと
50代になり退職の足音が聞こえてくると、老後資金への不安から家計や貯蓄の状況を見直すという方が多いです。長年続けてきた預貯金や保険だけで本当に老後を乗り切れるのか、あるいは物価上昇で資産が目減りしてしまうのではないかと、漠然とした焦りを感じるという声をよくいただきます。
2.1 50代に多いお悩み相談は「保険を見直したいが、何から手をつければいいか分からない」

退職を目前に控え、手元の資金をどのように整理し、振り分けていくべきかという切実な悩みが伺えました。
2.2 【ファイナンシャルアドバイザー・奥田朝が回答】不安を焦りに変えず、一つずつ整理する
まずは「守り」部分の保険です。日本は国民皆保険制度があることから誰もが最低限の保険には加入してます。まずは過剰な保険料を整理し過不足なく保有し、固定費の見直しを実施しましょう。
第二に、「攻め」にあたる資産の運用です。運用手法の選択で大事なのは、「目的」と「投資方針・意向」になります。何のために、どのような方法を活用するかが鍵になります。老後対策では、退職金や預貯金を物価上昇に負けない運用で目減りを防ぎ、住宅ローンと運用のバランスを見極め、現役時代と退職後で複利と単利を使い分けていくことが必要になります。
2.3 ポイント1:過剰な保険を整理し、資産形成の土台をつくる
まず見直したいのは、長年加入し続けている保険のバランスです。この方は当初、手厚い保障を維持すべきか迷っていましたが、「保険は最低限の備えにとどめ、浮いた分の資金をNISAなどの運用に回す方が理にかなっている」と気づいたように、過剰な保険料を整理することが資産形成の第一歩となります。夫婦で保障内容を点検し、重複や不要な特約を外すことで、毎月の固定費を大きく削減できるケースは少なくありません。
2.4 ポイント2:物価上昇に負けない運用で資産を守る
そのうえで目を向けたいのが、物価上昇に対する備えです。この方は財形貯蓄などで一定の資金を準備できていましたが、「物価が上がっているのに預金のままでは価値が変わらないため、効率の良い運用で資産の目減りを防ぎたい」という気づきの通り、現金だけで資産を持つことにはリスクが伴います。インフレに負けないよう、資産の一部を運用に回して価値を保全するという視点は、老後期間が長くなる現代においてより大切な視点になります。
2.5 ポイント3:住宅ローンの返済と運用のバランスを考える
また、退職前に悩みがちなのが住宅ローンの扱いです。手元にまとまった資金があると一気に繰り上げ返済をしたくなりますが、「住宅ローンの金利よりも運用の利回りが高いのであれば、無理に返済を急ぐよりも運用に回した方が効率的だ」という理解は、資金繰りを考えるうえで非常に重要です。手元の現金をすべて返済に充ててしまうと、万が一の際の流動性が失われるため、ローン返済と運用のバランスを取ることが求められます。
2.6 ポイント4:現役時代と退職後で複利・単利を使い分ける
さらに、運用を取り入れる際には、時期に応じた手法の使い分けも有効です。この方は債券などの仕組みを学ぶ中で、「現役世代のうちは複利で資産を育て、老後は単利で年金のように定期的に受け取るという使い分けが合っている」と話すようになりました。退職前は積立で資産を増やし、退職後は定期的な収入源として運用益を活用するという戦略は、老後の家計管理を安定させるための有効な手段となります。
最終的にこの方は、「年金だけで生活が成り立つか不安だったが、NISAや既存の資産をうまく組み合わせて補填していけばよいと分かった」と語るようになり、具体的な積立投資をスタートさせました。
退職が近づくと、焦りから極端な節約やハイリスクな投資に走ってしまうという反応をされる方が少なくありません。しかし、今の状況を悲観すると決めつける前に、保険の整理、預貯金と運用のバランス、住宅ローンの扱いなどを一つずつ整理してみることが、ゆとりある老後への出発点になります。
参考資料
奥田 朝
