本格的な夏を迎え、電気代などの値上がりが気になる季節となりました。

日々の生活費を考えると、老後の暮らしの柱である公的年金だけでは少し心もとない、と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実は、年金の収入や所得が一定基準額に満たない場合に、年金に上乗せして給付金が支給される「年金生活者支援給付金」という制度があります。

中本 智恵
対象になる可能性があっても、申請しなければ受け取れない給付金です。2026年度の基準額や支給要件、申請手続きの流れを一つずつ確認していきましょう。

この記事では、2026年度の年金生活者支援給付金について、どのような方が対象になるのか、いくら受け取れるのか、そして手続きはどうすればよいのか、といった基本的なポイントをわかりやすく解説していきます。

なお、制度の詳しい解説は下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。

年金に上乗せでもらえる「年金生活者支援給付金」とは?対象者・給付額・申請方法を解説 緑色・薄緑色・薄橙色の封筒が届いたら確認
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1. 記事を読むとわかる3つのポイント

  •  年金生活者支援給付金には「老齢」「障害」「遺族」の3種類があり、年金に上乗せして継続支給される
  •  支給要件は前年所得や世帯の非課税状況などで細かく定められている
  •  自動的には支給されず、ご自身での申請手続きが必要

2. 年金に上乗せされる「年金生活者支援給付金」の概要

まずは、年金生活者支援給付金制度の基本について確認しておきましょう。

「年金生活者支援給付金」は、公的年金などの収入や所得が基準額を下回る年金受給者の生活を支援するための制度です。

一時的な給付金とは異なり、年金に上乗せする形で継続的に支給される点が特徴です。

この給付金は、受け取っている基礎年金の種類によって、以下の3つに分けられます。

  • 老齢年金生活者支援給付金
  • 障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金生活者支援給付金

初回の受け取りには申請が必要で、一度手続きをすれば、支給要件を満たしている間は2カ月に1回の頻度で年金と一緒に支給されます。

中本 智恵
3種類のうち、ご自身がどれに該当するかは、現在受け取っている(またはこれから受け取る)年金の種類によって自動的に決まります。まずは自分がどの分類に当てはまるのかを確認したうえで、次の支給要件を見ていくとわかりやすいです。

3. 年金生活者支援給付金を受け取れる方の支給要件とは

ここでは、年金生活者支援給付金の支給要件について、詳しく見ていきましょう。

3.1 障害・遺族年金生活者支援給付金の対象者について

「障害年金生活者支援給付金」と「遺族年金生活者支援給付金」の場合、それぞれの基礎年金(障害基礎年金または遺族基礎年金)を受給していることに加えて、前年の所得が479万4000円以下であることが支給の条件です。

ここで重要なのは、所得の計算には障害年金や遺族年金といった非課税収入は含まれないという点です。

また、扶養親族の人数に応じて所得の基準額が引き上げられることも覚えておくとよいでしょう。

3.2 老齢年金生活者支援給付金の対象者について

一方、「老齢年金生活者支援給付金」は支給要件が少し異なり、以下の条件をすべて満たす必要があります。

  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者であること
  • 同じ世帯の全員が市町村民税非課税であること
  • 前年の公的年金などの収入金額とその他の所得(給与所得や利子所得など)の合計額が、昭和31年4月2日以降に生まれた方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれた方は80万6700円以下であること

このように、老齢年金生活者支援給付金では本人の所得以外にも要件が加わります。なお、こちらの判定においても、障害年金や遺族年金などの非課税収入は所得に含まれません。

また、支給基準額をわずかに超えることで給付の対象外となる方との公平性を保つため、「補足的老齢年金生活者支援給付金」という仕組みも設けられています。

この補足的な給付金の対象は、前年の年金収入とその他の所得の合計額が、昭和31年4月2日以降生まれの方は80万9000円超から90万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方は80万6700円超から90万6700円以下の方となります。

なお、住民税非課税世帯を対象とした他の優遇制度についてはこちらの記事でくわしく解説しています。あわせてご参照ください。
「住民税非課税世帯」を対象とした「優遇措置」8選 《年金・給与》年収いくらで該当するのか境界線も見ておこう 年金155万・給与110万が分かれ目?

中本 智恵
老齢年金生活者支援給付金は「世帯全員が非課税であること」が条件に入るため、ご本人の所得だけで判断できない点に注意が必要です。同居している家族に一定以上の収入がある場合、ご本人の所得が基準以下でも対象外になることがあります。

4. 年金生活者支援給付金はいくらもらえる?給付額を解説

年金生活者支援給付金の給付額は、毎年度見直しが行われます。

公的年金と同様に、前年の物価変動などに合わせて改定される仕組みです。

4.1 【2026年度】年金生活者支援給付金の給付額

2026年度における「年金生活者支援給付金」の基準額は、前年度から3.2%増額されました。

  • 老齢年金生活者支援給付金(基準額):月額5620円
  • 障害年金生活者支援給付金:障害等級1級で月額7025円、2級で月額5620円
  • 遺族年金生活者支援給付金:月額5620円

ただし、老齢年金生活者支援給付金の場合、この金額を基準として、保険料を納めた期間などに応じて個別の給付額が計算されることになります。

中本 智恵
月額5620円というと少なく感じるかもしれませんが、2カ月に1回、年金とあわせて継続的に支給される金額です。年間にすると老齢年金生活者支援給付金だけでも6万円超になり、長い老後の生活を考えるとけっして小さくない金額だと感じます。

5. 年金生活者支援給付金の請求手続きと申請方法

年金生活者支援給付金は、自動的に支給が始まるわけではなく、ご自身での申請が必要です。手続きを忘れないように注意しましょう。

ここでは、主な2つのケースに分けた請求手続きの方法を確認します。

5.1 ケース1:すでに年金を受け取っており、新たに給付金の対象となった方

  1. 毎年9月上旬から、対象となる可能性のある方へ「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次送付されます。届いた方は、必要事項を記入して切手を貼り、ポストへ投函してください。
  2. 締切日までに提出すれば10月分から遡って受け取れますが、遅れると請求した月の翌月分からの支給となるため、早めの手続きが大切です。

※請求書(はがき型)が届いた方は、郵送だけでなく電子申請も可能です。電子申請を利用した場合、はがきの郵送は不要になります。

5.2 ケース2:これから老齢年金の受給が始まり、給付金の対象にもなる方

  1. 年金の受給権が発生する3カ月ほど前に、年金を受け取るための「年金請求書(事前送付用)」が日本年金機構から送られてきます。この中に「年金生活者支援給付金請求書」も同封されています。
  2. 必要事項を記入したら、受給が始まる年齢の誕生日の前日以降に、年金請求書とあわせて年金事務所へ提出します。

5.3 手続きは初回のみ?翌年以降の申請について

一度請求手続きを行えば、その後も支給要件を満たし続ける限り、翌年以降の申請は原則として不要です。

※給付金の支給は毎年度、前年の所得などに基づいて継続の可否が判定されます。その結果は、毎年10月分(12月支払い)から1年間適用されます。

中本 智恵
はがき型の請求書は、見た目が地味なため他の郵便物に紛れて見落とされてしまうケースが少なくありません。9月に入ったら、ご自身やご家族宛てに見慣れない封筒やはがきが届いていないか、一度確認してみることをおすすめします。

6. 参考:国民年金・厚生年金の平均的な受給月額

参考として、現在の高齢者の方々が実際にどれくらいの公的年金を受け取っているのか見てみましょう。

厚生労働省が公表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金と厚生年金の平均月額は以下の通りです。

6.1 国民年金の平均月額

  • 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
  • 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万7582円

6.2 厚生年金の平均月額(国民年金を含む)

  • 〈全体〉平均年金月額:15万289円
  • 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
  • 〈女性〉平均年金月額:11万1413円

これらの金額はあくまで平均であり、現役時代の働き方などによって受給額は一人ひとり大きく異なります。