3. 医療保険制度は今後どうなる?令和8年成立の「4つの重要トピック」

令和8年5月に成立した「健康保険法等の一部を改正する法律案」では、私たちの生活に直結する改正が高額療養費の他に4つあります。

今回の医療保険制度改革のポイント4/4

今回の医療保険制度改革のポイント

出所:厚生労働省「医療保険制度改正法が成立しました」

3.1 OTC類似薬の薬剤給付の見直し(公布後1年以内)

市販薬で代替可能な一部の医薬品について、保険適用は維持されつつも、薬剤料の4分の1相当が窓口での追加負担となります。こどもや難病患者などへの特例措置も検討されています。

3.2 後期高齢者医療における金融所得の公平な反映(公布後5年以内)

不公平を解消するため、上場株式の配当等の金融所得も窓口負担割合の判定に反映されるようになります。個人の事務負担が新たに増えることはありません。

3.3 妊娠・出産に対する支援の強化(公布後2年以内)

出産の標準的な費用を医療保険から施設に直接支払う仕組み(現物給付化)が導入され、定額の現金給付など幅広い支援策が検討されています。

3.4 子育て世帯の保険料負担軽減(令和9年4月1日)

国民健康保険において、子どもに係る均等割保険料を半額にする軽減措置の対象が、これまでの未就学児から「高校生年代まで」へと大きく拡大されます。

4. まとめにかえて

今回は、2026年8月に行われた高額療養費制度の改定と今後の医療保険制度の動向について解説しました。月ごとの上限額は引き上げられたものの、長期治療を支える「年間上限」が新設され、より実態に寄り添う仕組みへと変化しています。

しかし、高額療養費は非常に心強い制度である反面、決して万能ではなく、先進医療の技術料や入院中の食事代、差額ベッド代などは全額自己負担(対象外)となります。

橋本 優理
筆者の生保職員時代の経験からも、こうした公的制度では補いきれない出費や、治療中の収入減少リスクに対してのみ民間医療保険を活用する方が多い実感があります。

制度の仕組みを正しく理解し、ご自身にとって本当に必要な保障を見極める一助となれば幸いです。

高額療養費の限度額を知ることは、適正な生活防衛資金(いざという時のための貯蓄)を計算する第一歩です。ご自身の所得区分に応じた月額上限や今回の年間上限を把握できれば、「医療費として手元にいくら残すべきか」が明確になり、過度な不安を減らすことができます。制度が変わったこのタイミングで、ぜひご家族でお金や保障のバランスを話し合ってみてください。
村岸 理美

参考資料

橋本 優理