4. 公金受取口座の「よくある不安」Q&A|残高は見られる?税金は引かれる?
「登録すると口座の中身まで見られるのでは」「勝手に税金を引かれるのでは」——公金受取口座には、こうした不安の声もあります。ここでは、デジタル庁の「よくある質問」から、代表的な疑問への答えを引用して確認しておきましょう。
4.1 残高や取引は見られる?税金が引き落とされる?
Q. 口座を登録すると、預貯金残高や取引履歴(入出金履歴など)を国に把握されるのでしょうか。
A. 公金受取口座への登録によって、口座残高や取引履歴を把握することはありません。(デジタル庁は)金融機関名や口座番号等の公金受取口座の利用に必要となる情報のみ取得・提供を受けます。
Q. 登録した口座から、税金等が引き落とされることはありますか。
A. 公金受取口座の登録を行ったことによって、税金等が引き落とされるということはありません。
つまり、国に登録されるのは「受け取り」に使う口座情報だけで、残高や使いみちをのぞかれたり、勝手にお金を引き落とされたりする仕組みではない、ということですね。登録の際に、預貯金の暗証番号やネットバンキングのパスワードを聞かれることも一切ありません。
4.2 すべての口座がひもづく?あとで変更・解除できる?
Q. 公金受取口座を登録すると、私が持っているすべての預貯金口座はマイナンバーとともに登録されるのでしょうか。
A. 公金受取口座は、給付金等を受け取るための口座として1人1口座登録する制度です。公金受取口座に登録した預貯金口座に限り、マイナンバー(個人番号)とともに登録されます。
登録できるのは1人1口座で、持っている口座すべてが自動でひもづくわけではありません。しかも、登録した情報はマイナポータルなどから、いつでも変更・抹消(登録の取り消し)ができます。「一度登録したら元に戻せない」ものではない、と知っておくと安心ですね。なお、これは口座にマイナンバーを付ける「預貯金口座付番制度」とは別の制度です。
それでも判断に迷うときは、ひとりで抱えず、マイナンバー総合フリーダイヤル(0120-95-0178・音声ガイダンス6番)で確認できます。
5. メリットは「受け取りがスムーズ」、最大の注意点は「放置=同意」
公金受取口座の登録には、メリットもあります。いちど登録しておけば、今後の給付金や還付金などを受け取るときに、口座情報の記入や通帳のコピー添付がいらなくなり、手続きがスムーズになります。
いっぽうで、最大の注意点は、くり返しお伝えしている「45日放置で自動的に同意扱いになる」ことです。登録したくない方は、必ず期限内に不同意申出書を返送してください。「よく分からないから」と置いておくと、意図しない登録につながりかねません。判断に迷うときこそ、ご家族と一緒に中身を確認するのがおすすめです。
そして、こうした公的な書類に便乗した詐欺にも警戒を。日本年金機構や自治体の職員が、電話や訪問で暗証番号を聞き出したり、ATMの操作を求めたりすることは絶対にありません。「手続きしないと年金が止まる」と不安をあおる連絡は、典型的な詐欺の手口です。少しでも不審に感じたら、その場で応じず、ご家族や警察、専用フリーダイヤルへ相談しましょう。
6. まとめにかえて
2026年の秋は、年金を受け取っているご家庭に、大切な書類が届く季節です。最後に、今日からできる具体的なアクションを3つに整理しておきます。
- ①届く時期を確認する:意向確認書は生年月日の順に発送され、昭和30年9月〜昭和25年3月生まれの方は9月ごろが目安です。ご自身やご家族の生年月日と照らし合わせ、簡易書留の受け取り漏れがないようにしましょう。
- ②「登録するか・しないか」を早めに決める:登録を希望するなら手続きは不要。希望しないなら、45日以内に不同意申出書を返送します。「放置は同意」になる点を、ご家族とも共有しておくと安心です。
- ③給付金・現況届もあわせてチェックする:緑の封筒(年金生活者支援給付金)は申請しないと受け取れず、現況届は届いたのに出さないと年金が一時止まることがあります。届いた書類は放置せず、迷ったらねんきんダイヤル(0570-05-1165)や意向確認書照会専用ダイヤル(0120-74-0011)へ。書類ひとつの確認が、大切な年金と暮らしを守る一歩になります。
参考資料
- 日本年金機構「令和8年8月から年金振込口座の公金受取口座登録に関する意向確認書をお送りします」
- 厚生労働省・日本年金機構「年金振込口座の公金受取口座登録について【意向確認書に関するご案内】」
- デジタル庁「公金受取口座登録制度」
- デジタル庁「よくある質問:公金受取口座登録制度の概要」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
宮野 茉莉子

