偶数月の原則15日に、直前の2カ月分がまとめて振り込まれる公的年金。2026年の秋も、年金を受け取っているご家庭には、大切なお知らせが次々と届く季節です。

なかでも今年は、8月から順次発送が始まった「公金受取口座登録の意向確認書」が話題になっています。生年月日ごとに届く時期がずれていて、9月ごろに届くのは、71~76歳(昭和30年9月〜昭和25年3月生まれ)の方が中心です。ご自身やご両親が当てはまらないか、まず確認しておきたいですね。

「同意するか・しないか」を確かめる書類ですが、実は45日間そのままにしておくと、自動的に「同意」扱いになる——という見落としがちな注意点があります。対象になる方・ならない方の条件から手続きの流れ、便乗詐欺への備えまで、一次資料をもとに整理していきましょう。あわせて、同じ秋に届きやすい「現況届」にも触れておきます。

以下では、LIMOの記事『【年金】8月から送付開始「意向確認書」の簡易書留《届く人・届かない人》の条件とは?』の内容を引用しながら、日本年金機構などの一次資料で数値・時期を確かめて解説します。

【年金】8月から送付開始「意向確認書」の簡易書留《届く人・届かない人》の条件とは?
【年金】8月から送付開始「意向確認書」の簡易書留《届く人・届かない人》の条件とは?公金受取口座の登録手続きと注意点を解説
ココがポイント
  • 「公金受取口座」登録の意向確認書が簡易書留で届く。9月ごろ届くのは昭和30年9月〜昭和25年3月生まれが中心
  • 受け取りから45日以内に不同意の返送がないと「同意」扱いで自動登録。対象外となる5つの条件にも注意
  • 市区町村・年金事務所の窓口では対応不可。照会は専用フリーダイヤルへ。便乗詐欺にも要警戒

1. 公的年金のキホン|2026年度は4年連続のプラス改定

まず、日本の年金制度と今年度の年金額をおさらいします。

日本の公的年金制度は、国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する1階部分の「国民年金」と、会社員や公務員が上乗せして加入する2階部分の「厚生年金」からなる「2階建て構造」になっています。

2026年度(令和8年度)の年金額は、物価や賃金の上昇を反映し、国民年金が前年度比1.9%、厚生年金が2.0%の増額改定となりました。

日本の年金制度は2階建て1/3

日本の年金制度は2階建て

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」をもとにLIMO編集部作成

4年連続のプラス改定とはいえ、改定率は物価の上がり方には追いついておらず、「増えた実感がない」という声も少なくないでしょう。

年金額は毎年度改定されますから、今回の意向確認書をはじめとして、年金に関する書類が届いたらちゃんと確認しましょう。

額面から社会保険料や税金が引かれた「手取り」の実際は、別記事『【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル』で詳しく解説しています。

2. 71~76歳の年金受給者に9月に届く「公金受取口座登録の意向確認書」とは?対象・手続き・45日ルール

公金受取口座登録法の改正に伴い、年金受給者の方へ「年金振込口座の情報をデジタル庁に提供し、公金受取口座として登録することに同意するか」を確認するための意向確認書が簡易書留で送付されます。

送付の対象となるのは、2026年4月15日時点で65歳以上(1961年4月16日以前生まれ)の年金を受給している方です。

発送は2026年8月から2027年2月(予定)にかけて、生年月日の順に行われます。今回のテーマである昭和30年9月〜昭和25年3月生まれの方は、9月ごろに届くのが目安です。簡易書留なので、受け取りそびれがないよう気をつけておきたいですね。

いっぽうで、対象から外れる方もいます。日本年金機構の案内から、送付されない条件を引用します。

ただし、以下の要件に一つでも該当する場合は送付されません。
・すでに公金受取口座を登録している方
・令和8年4月に年金が支払われなかった方(全額支給停止、振込不能など)
・国外に居住している方
・共済組合等から支給される年金のみを受給している方
・令和7年6月以降の年金請求手続きにおいて、公金受取口座への登録意思表示をした方 など

すでに口座を登録済みの方や、海外にお住まいの方などには届きません。「届かない=手続き漏れかも」と不安になる必要はなく、多くはこうした理由によるものなのですね。

手続きは、登録を「希望する(同意)」か「希望しない(不同意)」かで分かれます。希望する場合は手続き不要で、そのままにしておくと口座情報などがデジタル庁へ提供され、登録されます。希望しない場合は、意向確認書の下部にある「公金受取口座登録不同意申出書」を切り離し、同封の目隠しシールを貼って返送します。

とくに気をつけたいのが「45日ルール」です。意向確認書を受け取ってから45日以内に不同意申出書の返送がない場合、登録に「同意」したものとみなされ、自動的に公金受取口座として登録されます。「あとで考えよう」と置いたままにすると、意図せず登録される可能性がある、ということです。

なお、不在などで書類そのものを受け取れなかった場合は「意向確認ができなかった」ものとして扱われ、勝手に登録されることはありません。不同意申出書を紛失したときは再発行できないため、専用ダイヤルへ早めに相談しましょう。

市区町村の窓口や年金事務所の窓口では、この件に関する対応を行っていません。確認や相談は、意向確認書照会専用フリーダイヤル(0120-74-0011。利用できない場合は050-3524-7372)へ行いましょう。

3. あわせて確認したい9月に対象者に届く「年金生活者支援給付金」手続き書類

9月には、年金を含めた所得が一定以下の方で新たに対象となって人に、「年金生活者支援給付金」の書類も届きます。

年金受給者向けの書類で「手続き漏れに注意したい事項」の一つが、「年金生活者支援給付金」の請求です。

公的年金等の収入が一定基準以下の方に年金へ上乗せして支給される恒久的な支援制度で、2026年4月分(実際の振込は6月から)から3.2%の増額改定となっています。

老齢年金生活者支援給付金も、この改定で基準額が引き上げられました。ただし基準額はあくまで目安で、実際の支給額は保険料の納付済期間などに応じて一人ひとり計算されるため、全員が一律になるわけではありません。

この給付金は「自分から請求しないと受け取れない」ので、新たに対象となる可能性のある方には、毎年9月上旬から順に、はがき形式の請求書が入った「緑色の封筒」が届きます。請求が遅れると、原則さかのぼっては支給されません。ご実家に緑の封筒が眠っていないか、この機会にのぞいてみるとよいかもしれませんね。

川勝 隆登

ここまで、意向確認書の対象や「45日ルール」、あわせて秋に届きやすい給付金の請求について整理してきました。

共通しているのは、どれも「届いた書類を放置しないこと」が肝心だという点です。意向確認書は置いたままだと自動で同意扱いになり、給付金はさかのぼって受け取れないことがあります。

とはいえ、いざ手続きとなると不安の声もよく耳にします。

次の章では、そうした公金受取口座の「よくある不安」に、デジタル庁のFAQをもとにお答えします。