4. 【試算】65歳から毎月8万円ずつ取り崩すと、1500万円は何年もつか
貯めた先の話も、あわせて数字にしておきましょう。65歳時点で1500万円を用意できたとして、年金では足りない分を毎月8万円ずつ取り崩していくと、何年もつのかを試算しました。運用を続けながら取り崩すケースも並べています。
4.1 1500万円を毎月8万円取り崩した場合に、資金が尽きるまでの期間
- 運用しない場合(利回り0%):15年7カ月(65歳から取り崩すと80歳台前半で底をつく)
- 年利1%で運用しながら取り崩す場合:約16年11カ月
- 年利3%で運用しながら取り崩す場合:約21年0カ月(86歳ごろまで)
同じ1500万円でも、運用を続けるかどうかで5年以上の差が出ます。退職後は「もう増やす時期ではない」と考えて全額を預貯金に移す方もいますが、取り崩し期間の長さを考えると、一部を運用に残す選択肢も検討に値します。
もちろん、値動きのある資産は取り崩すタイミングによって結果が変わります。当面の生活費は預貯金で確保したうえで、余裕資金の部分をどうするかという順番で考えるのが現実的でしょう。65歳以降の家計収支や、運用しながら取り崩す考え方については、LIMOの記事「老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?」でも詳しく解説されています。
5. 元銀行員の視点:50歳代の夫婦が今日から始められる3つのこと
50代の数年間は、家計を大きく前進させられる貴重な時期です。試算のとおり、必要な積立額は決して小さくありませんが、教育費や住宅ローンが終われば、その原資は目の前にあります。
まずは、支出が減った分・増えた収入を「どこに回すか」を、夫婦で一度話してみませんか。金額を決めることよりも、行き先を決めておくことのほうが大事です。
以下では、元銀行員の立場から、50歳代のご夫婦が今日から始められることを3つに絞ってお伝えします。
5.1 1.手取りが増えても、生活の水準を上げすぎない
昇給や子の独立で家計に余裕が出たら、その差額を「先取り」で別口座に移してしまうのがおすすめです。使ってしまう前に分けておけば、自然と貯まっていきます。意思の力で残そうとするより、給与が入った時点で自動的に振り替わる仕組みにしてしまうほうが、長続きします。
5.2 2.退職金の使い道を「今から」考えておく
まとまったお金が入ると気が大きくなりがちですが、受け取ってすぐ一括で投資に回すのは避けたいところです。生活費の何年分かは預貯金で確保し、残りをどうするかを、退職前の落ち着いた時期に夫婦で決めておきましょう。受け取ってから考え始めると、判断が急ぎ足になります。
5.3 3.「ねんきん定期便」で年金の見込み額を夫婦それぞれ確認する
老後にいくら入ってくるかがわかれば、貯めどきの今、あといくら準備すればよいかが具体的に見えてきます。世帯としての受給額は、夫婦それぞれの見込み額を足してはじめてつかめます。片方だけ確認して終わりにしないことが大切です。
6. まとめにかえて
50歳代・二人以上世帯の貯蓄は、平均1908万円・中央値700万円でした。2000万円以上の世帯が26.9%を占める一方、金融資産を持たない世帯も18.2%。差が大きい年代だからこそ、この「貯めどき」をどう使うかが効いてきます。
子どもの独立、住宅ローンの完済、役職定年の前——50歳代には、貯蓄ペースを上げられるタイミングが何度か訪れます。共通するのは、いずれも事前に時期がわかるということです。
下半期が始まるこの時期に、そのタイミングがいつ来るのか、そのとき浮いたお金をどこへ回すのかを、夫婦で確認しておきたいところです。
参考資料
- 金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」
- 金融庁「つみたてシミュレーター」
- LIMO「【全世代(20~70歳代)比較】貯蓄額の平均・中央値はいくら?単身・二人以上世帯で比較すると見えた「お金がある人・ない人の差」 差が生まれる3つの要因を確認」
- LIMO「【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説 元FP会社職員監修:FP相談のリアルな声も掲載」
LIMO編集部貯蓄解説班
