4. 【年金制度】働きながら年金を受け取る高齢者が増えている背景

老後の暮らしを考えるうえで、「定年後は年金収入だけで生活する」という従来型のイメージは、少しずつ変わりつつあります。

近年は、年金を受給しながら働き続ける高齢者が増えており、その働き方もフルタイムだけでなく、短時間勤務やパート勤務など多様な形へ広がっています。

その背景には、物価上昇による生活費負担の増加に加え、「完全に仕事を辞めるよりも、無理のない範囲で社会とのつながりを持ち続けたい」と考える人が増えていることがあります。

現在の老後は、「年金だけで暮らす」というよりも、年金・貯蓄・就労収入を組み合わせながら家計を支えるスタイルへと変化しつつあります。

4.1 シニア就業率は上昇が続いている

内閣府の調査から、シニアの就業率を見てみると、上昇傾向が続いていることがわかります。

年齢階級別に見ると、75歳以上はおおむね横ばいで推移している一方、65~69歳は53.6%(前年比+1.6ポイント)、70~74歳は35.1%(前年比+1.1ポイント)となっており、シニア世代で働く人の割合は着実に増加しています。

特に近年は、定年延長や再雇用制度の普及が進み、「65歳で完全に引退する」という働き方だけではなくなってきました。加えて、人手不足を背景に、高齢者を積極的に採用する企業も増えています。

こうした流れを受けて、老後も一定の収入を得ながら暮らすスタイルは、以前よりも一般的なものになりつつあります。
「短時間勤務」という働き方が広がる

もっとも、現役時代と同じようにフルタイムで働き続ける人ばかりではありません。

4.2 「短時間勤務」という働き方が広がる

一方で、現役時代と同じような働き方を続ける人ばかりではありません。

実際には、

  • 週に数日だけ働く
  • 午前中のみ勤務する
  • 短時間のパート勤務に切り替える
  • 体力に合わせて勤務日数を調整する

といった、柔軟な働き方を選ぶケースが多く見られます。

老後の就労では、「できるだけ多く稼ぐ」というよりも、「生活費を少し補いながら、無理なく長く続ける」という考え方が中心になりやすい点が特徴です。

4.3 「年金+少額収入」で家計を補うケースも多い

高齢期の家計では、毎月数万円程度の赤字が続くケースも珍しくありません。

その不足分を、短時間勤務による収入で補っている人も増えています。

例えば、年金収入だけでは毎月2万〜5万円ほど不足する場合でも、月5万円前後の就労収入が加われば、預貯金を取り崩すペースを抑えやすくなります。

特に高齢期は、医療費や住居費など固定的な支出が続きやすいため、「少し働いて不足分を補う」というスタイルが、家計の安定につながるケースも少なくありません。

4.4 「働ける前提」に偏りすぎない視点も必要

ただし、老後の就労が誰にでも同じように可能とは限りません。

健康状態や体力の変化、家族の介護などによって、働き続けることが難しくなる場合もあります。

そのため、「老後は働けば何とかなる」と考えるのではなく、あくまで選択肢の一つとして捉えておくことが大切です。

現在の老後資金は、「年金だけ」「貯蓄だけ」で支える時代ではなく、複数の収入源や資産を組み合わせながら備えていく方向へ変わりつつあります。