75歳以上になると、多くの人が加入することになる後期高齢者医療制度。年金生活に入ると、毎月の収入が限られやすくなる一方で、医療費や保険料の負担は家計に大きく関わってきます。

2026年度からは、後期高齢者医療制度の保険料率が見直されています。保険料は全国一律ではなく、住んでいる都道府県や所得によって変わるため、自分の地域ではどの程度の負担になるのかを確認しておきたいところです。

また、医療給付費の増加に加え、新たな支援金制度の開始も、高齢者の保険料負担に関わるポイントです。

本記事では、後期高齢者医療制度の基本的なしくみを確認したうえで、2026年度の保険料や都道府県別の違い、保険料が上がる背景について見ていきます

1. 【75歳以上の後期高齢者医療制度】平均保険料「月額7989円」に上がるのはなぜ?

後期高齢者医療制度は、原則として75歳以上の人が加入する公的医療保険です。65歳以上75歳未満でも、一定の障害があると認定された人は、申請により加入対象となる場合があります。

会社員時代に健康保険に加入していた人や、国民健康保険に加入していた人も、75歳になると後期高齢者医療制度へ移行します。

保険料は、加入者全員が負担する「均等割額」と、前年の所得に応じて負担する「所得割額」をもとに計算されます。

均等割額や所得割率は都道府県ごとの後期高齢者医療広域連合が定めるため、同じ年金収入でも住んでいる地域によって保険料が異なります。

厚生労働省が公表した令和8・9年度の保険料率によると、医療分の被保険者1人あたり平均保険料額は全国平均で月額7989円となる見込みです。

  • 被保険者均等割額の年額:5万6083円
  • 被保険者均等割額の月額:4673円
  • 所得割率:10.17%
  • 平均保険料額の年額:9万5875円
  • 平均保険料額の月額:7989円

2. 【都道府県別ランキング】平均保険料が高いのはどこ?「最高で月額1万352円!」

具体的な保険料をイメージしやすくするために、厚生労働省の資料をもとに、都道府県別の平均保険料額を高い順に見ていきましょう。

2.1 2026年度の平均保険料額(医療分)

  • 東京都    1万352円
  • 神奈川県    9842円
  • 愛知県    9045円
  • 大阪府    9010円
  • 沖縄県    8731円
  • 奈良県    8622円
  • 福岡県    8330円
  • 兵庫県    8301円
  • 京都府    8280円
  • 千葉県    8237円
  • 埼玉県    8189円
  • 佐賀県    8159円
  • 石川県    8065円
  • 滋賀県    8051円
  • 岡山県    7891円
  • 福井県    7840円
  • 山口県    7836円
  • 広島県    7831円
  • 静岡県    7415円
  • 香川県    7388円
  • 岐阜県    7317円
  • 富山県    7296円
  • 北海道    7295円
  • 大分県    7283円
  • 三重県    7263円
  • 鹿児島県    7174円
  • 茨城県    7128円
  • 熊本県    7088円
  • 山梨県    7070円
  • 宮城県    6933円
  • 群馬県    6877円
  • 徳島県    6829円
  • 和歌山県    6771円
  • 高知県    6747円
  • 長野県    6745円
  • 鳥取県    6568円
  • 島根県    6561円
  • 栃木県    6476円
  • 長崎県    6192円
  • 愛媛県    6186円
  • 山形県    6014円
  • 宮崎県    5875円
  • 新潟県    5852円
  • 秋田県    5847円
  • 福島県    5744円
  • 岩手県    5496円
  • 青森県    4990円
  • 全国   7989円

保険料の水準は都道府県ごとに異なり、最も高い東京都と、最も低い青森県のあいだには、月額で5362円の差があります。

続いて、基礎年金受給者(年金収入84万円)の保険料を見ていきましょう。

2.2 2026年度の保険料額(年金収入84万円の場合)

  • 北海道    1392円
  • 青森県    1175円
  • 岩手県    1133円
  • 宮城県    1216円
  • 秋田県    1300円
  • 山形県    1225円
  • 福島県    1143円
  • 茨城県    1155円
  • 栃木県    1146円
  • 群馬県    1267円
  • 埼玉県    1217円
  • 千葉県    1183円
  • 東京都    1242円
  • 神奈川県    1225円
  • 新潟県    1148円
  • 富山県    1302円
  • 石川県    1337円
  • 福井県    1263円
  • 山梨県    1228円
  • 長野県    1139円
  • 岐阜県    1292円
  • 静岡県    1192円
  • 愛知県    1308円
  • 三重県    1280円
  • 滋賀県    1292円
  • 京都府    1390円
  • 大阪府    1515円
  • 兵庫県    1363円
  • 奈良県    1325円
  • 和歌山県    1371円
  • 鳥取県    1217円
  • 島根県    1334円
  • 岡山県    1400円
  • 広島県    1285円
  • 山口県    1482円
  • 徳島県    1423円
  • 香川県    1353円
  • 愛媛県    1298円
  • 高知県    1409円
  • 福岡県    1548円
  • 佐賀県    1603円
  • 長崎県    1308円
  • 熊本県    1470円
  • 大分県    1492円
  • 宮崎県    1300円
  • 鹿児島県    1625円
  • 沖縄県    1423円
  • 全国    1309円

最も保険料が高いのは鹿児島県の1625円、最も低いのは岩手県の1133円となっており、その差額は492円です。

お住まいの都道府県の保険料が全国平均と比べて高いのか低いのか、一度確認してみるとよいでしょう。

3. なぜ保険料は上がる?医療給付費の伸びや支援金制度が影響

後期高齢者医療制度の保険料が上がる背景には、医療費の増加があります。

厚生労働省の資料によると、令和8・9年度の被保険者一人当たり医療給付費の見込みは、全国平均で年間約94万2000円です。

令和6・7年度の実績見込みである年間約89万8000円から、約4.89%増える見通しとされています。

後期高齢者医療制度では、75歳以上の人などが医療機関を利用した際の給付費を、保険料や公費、現役世代からの支援金などで支えています。

そのため、医療給付費が増えれば、制度全体の財源もより多く必要になります。

また、令和8年度からは、こどもや子育て世帯を社会全体で支えるための「子ども・子育て支援金」も新たに加わりました。

後期高齢者医療制度の被保険者も徴収対象となっており、年収に応じて月額50~200円程度の負担となります。

年収別の支援金額の試算(令和8年度)2/2

年収別の支援金額の試算(令和8年度)

出所:こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度について」

  • 年収80万円の場合:月額 50円
  • 年収100万円の場合:月額 50円
  • 年収125万円の場合:月額 50円
  • 年収150万円の場合:月額 50円
  • 年収175万円の場合:月額 100円
  • 年収200万円の場合:月額 200円

4. まとめ

後期高齢者医療制度は、原則として75歳以上の人が加入する公的医療保険です。保険料は、加入者全員が負担する均等割額と、前年の所得に応じた所得割額をもとに計算されます。

2026年度の後期高齢者医療制度の保険料は、全国平均で月額7989円となる見込みです。ただし、保険料率は都道府県ごとに異なるため、同じ年金収入でも住んでいる地域によって負担額に差が出ます。

また、医療給付費の増加に加え、2026年度からは子ども・子育て支援金も新たに加わっています。後期高齢者医療制度の加入者も対象となり、年収に応じて月額50~200円程度の負担が見込まれています。

老後の家計を考える際は、年金額だけでなく、医療保険料や医療費の自己負担も確認しておくことが大切です。

お住まいの地域の広域連合や自治体から届く通知を確認し、自分の保険料や負担割合を把握しておきましょう。

参考資料

加藤 聖人