4. 「日の丸パワー半導体」統合とリストラの巧みさ

もう一つ、三菱電機の事業再編の上手さを示すのが、半導体事業の動きです。同社は2026年3月27日、ローム、東芝(東芝デバイス&ストレージ)などと共に、パワーデバイス事業の経営統合に向けた基本合意書を締結しました。

パワー半導体とは、電気自動車や鉄道、送変電所などで高い電圧をコントロールするために使われる特殊な半導体です。

スマートフォンなどに使われる最先端の微細な半導体とは異なり、小さくて分厚く、高電圧に耐えられる特性が求められます。この分野は、工場向けのFA機器など産業用途に強い日本のメーカーが、世界的に見ても高いシェアを握っている「ニッチだが重要な市場」です。

パワー半導体4社経営統合スキーム(三菱電機・ローム・東芝+JIP/TBJ)4/4

パワー半導体4社経営統合スキーム(三菱電機・ローム・東芝+JIP/TBJ)

出所:三菱電機・ローム・東芝プレスリリース(2026年3月27日)を基にイズミダイズム作成

しかし、成長市場であるがゆえに世界的な競争も激しく、1社単独での設備投資には限界があります。そこで各社が手を結び、「我が国の半導体事業」として世界に打って出る体制を構築しようとしているのです。

泉田氏は、この統合への参画決断の裏にも、三菱電機の「3番手」としての歴史が生きていると分析します。

かつて日本の電機メーカーがDRAM(メモリ)事業で世界を席巻し、その後敗退していった歴史において、三菱電機はトップシェアではありませんでした。だからこそ、未練を残さず事業を切り出しやすかったという側面があります。

「三菱は戦略的に考えてその時にちゃんとカードを切れるっていうのが、外から見てて上手いなと思うし、投資家はそういうのが喜ぶんだよね」

コア事業とノンコア事業を見極め、自分たちだけで抱えきれないものは他社と組む。この事業ポートフォリオ見直しの機敏さが、同社の強みの源泉となっています。

【動画で解説】三菱電機はなぜ強い?3番手の生き残り戦略と事業再編を元機関投資家が解説