5.4 「二人でリスク分散される」という前提の見直し
老後資金を試算する際、「夫婦二人なのでリスクは分散される」と考えがちですが、医療費に関してはその前提が当てはまらないこともあります。
むしろ、一方に負担が集中することで、結果的に世帯全体の支出が長期にわたって増加する構造も考えられます。
そのため、資金計画を立てる際には、単純な平均額で考えるのではなく、「どちらか一方に負担が偏る可能性」を前提としておくことが、より現実に即した備えにつながるでしょう。
6. まとめ|今後の医療費の見通しをどう立てるか
後期高齢者医療制度における窓口の負担割合は、所得水準や世帯構成によって決まりますが、この制度を取り巻く環境は今後も変化していくことが予想されます。
その一つが、「子ども・子育て支援金」の導入です。
これは少子化対策の財源を社会全体で支えるための仕組みで、後期高齢者医療制度でも被保険者1人あたり月額平均で200円程度(※)が保険料に上乗せされる見通しです。
一人あたりの金額は大きくは見えないかもしれませんが、年間で計算すると数千円規模となり、家計への影響を感じる世帯も出てくるかもしれません。
少子高齢化が進むなかで、医療保険料や関連する負担が今後も緩やかに増加していく可能性はあります。
制度の仕組みや今後の変更点を理解し、こうした上乗せ分も考慮に入れて家計を見通しておくことが、老後の生活を安定させるうえで大切な視点といえるでしょう。
※支援金額は、お住まいの都道府県の後期高齢者医療広域連合が定める条例に基づき、個人の所得などに応じて決まります。支援金の月額については、お住まいの市町村にお問い合わせください。なお、後期高齢者医療広域連合ごとに支援金に係る保険料率が異なります。また、令和8年4月分からの拠出となりますが、具体的な徴収開始時期はご加入の広域連合にご確認ください。
※当記事は再編集記事です。
参考資料
- J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査」
- 政府広報オンライン「後期高齢者医療制度 医療費の窓口負担割合はどれくらい?」
- J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」
- 厚生労働省「後期高齢者の窓口負担割合の変更等(令和3年法律改正について)」
- 厚生労働省「国民医療費の概況」
- こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度について」
- LIMO「【75歳~】医療費がいちばん重い「3割負担」になる年収の目安は何万円?1〜3割の判定基準も解説【後期高齢者医療制度のイロハ】」
マネー編集部社会保障班
