風薫る5月、日常の業務に戻られた方も多いのではないでしょうか。
久しぶりに会った親や親戚の様子を見て、改めて「健康寿命」や「老後資金」について考え始めた方もいらっしゃるかもしれません。
最新の統計によれば、65歳以上の4人に1人が認知症またはその一歩手前の状態(MCI)にあるとされ、年金事情も厳しさを増しています。
来月、6月15日は公的年金の支給日です。
厚生年金の受給額が「月10万円未満」の層は約19%にのぼり、事前の備えがこれまで以上に重要です。
人生100年時代と言われる現代を、安心して過ごすためのお金と健康に関する情報をお届けします。
1. 厚生年金の受給額「月10万円未満」が約2割という現実
厚生年金(国民年金を含む)の受給額に関するデータを見ると、興味深い実態が明らかになります。
多くの方が生活費の一つの目安と考える「月20万円以上」を受け取る人よりも、「月10万円未満」の人の割合が高いのです。
※本記事で扱うのは、会社員など民間の事業所で雇用されていた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」について、国民年金の月額相当額を含んだ年金額です。
1.1 厚生年金の受給額分布で見る男女全体の傾向
- 月額10万円未満:19.0%(約5.3人に1人)
- 月額20万円以上:18.8%(約5.4人に1人)
ごくわずかな差ですが、「月10万円に満たない」層が、高額受給層の割合を上回っていることが分かります。
もし国民年金のみを受給している人も含めて全体を見れば、「月10万円未満」の割合はさらに大きくなると考えられます。
平均受給額は15万円台とされていますが、実際には個人差が大きく、受給者の8割以上が「月20万円未満」であるというデータもあります。
このような背景から、公的年金以外の自助努力の重要性が高まっています。
年金生活が始まってから「想定より少ない」と困らないためにも、現役のうちにご自身の受給見込額を正確に把握しておくことが大切です。
公的年金だけに依存するのではなく、iDeCoやNISAといった制度を早期から活用し、「自分年金」を準備することが、将来の生活のゆとりにつながるでしょう。
2. 日本の平均寿命は男性81歳・女性87歳。65歳以上の約15%が該当する「軽度認知障害」の実態
厚生労働省が発表した「令和6年簡易生命表の概況」によると、日本の最新の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.13歳でした。
前年と比較すると男性はほぼ横ばい、女性はわずかに短くなりましたが、長期的な視点では寿命は延び続けています。
長い老後を心豊かに過ごすためには、資産形成と並行して、公的年金制度や医療・介護のリスクについて理解を深めることが欠かせません。
特に長寿化が進む現代において、「認知症」への備えは避けて通れない課題です。
2.1 認知症の現状:シニアの4人に1人に認知機能のサイン
令和4年度(2022年度)に行われた推計によると、65歳以上の高齢者3603万人における認知症の状況は以下のようになっています。
- 認知症と診断された人:約443万人(12.3%)
- 軽度認知障害(MCI)の人:約559万人(15.5%)
認知症とその前段階であるMCI(軽度認知障害)を合わせると、約1002万人にのぼります。
これは高齢者の約4人に1人が、認知機能に関して何らかの注意や支援を必要としていることを示しています。
認知症は誰にとっても身近な問題であり、特にMCIの段階でどのように対応するかが、その後の生活の質を大きく左右します。
このような状況を背景に、「終活」への関心が高まっています。
3. 終活の認知度は9割を超えるも、60歳代・70歳代の準備は十分か
【グラフ】終活に対するイメージ(全体・男女別・年代別)

出所:NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)「第2回終活意識全国調査報告書【確定版】(2025年7月)」
長寿化と認知症リスクの高まりを受け、「終活」が注目されています。
NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)が公表した「第2回終活意識全国調査報告書【確定版】(2025年7月)」によれば、「終活」という言葉を知っている人は96.2%に達しています。
しかし、「エンディングノート」については、認知はされているものの、実際に記入している人は少ないのが現状です。
特に年齢が上がるにつれて、「まだ早い」と感じたり、体力的な問題から記入が進まなかったりする傾向が見られます。
3.1 エンディングノートの認知と実行のギャップ
- 認知度:60歳代以上では9割を超えています。
- 所有率:70歳代以上が24.2%で最も高いものの、50歳代以下では1桁台にとどまります。
- 実行率(所有者のうち):20歳代では9割以上が記入している一方、70歳代以上では約5割となっています。
年齢を重ねると、記載すべき項目が増えたり、「まだ早い」という気持ちから先延ばしにしたり、あるいは健康上の理由で筆が進まなくなったりすることが考えられます。
ご自身の資産や医療・介護に関する希望をしっかりと残すためにも、気力と体力が充実しているうちから準備を始めることが大切です。
【調査概要】NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)「第2回終活意識全国調査報告書【確定版】(2025年7月)」
- 調査の目的:高齢化社会における終活への意識の実態を把握し、個人が豊かで安心できる人生の後半期を送るための支援策や啓発活動に活用する
- 調査の対象:20歳から89歳の男女
- 調査の地域:全国
- 調査の方法:インターネットリサーチ
- 調査の時期:2024年12月4日(水)から12月6日(金)
- 回答者の数:2052名
- 割り付け方法:人口構成比による割り付け(令和2年国勢調査の性別・年代別人口比率に基づく)
- 調査の委託先:株式会社マクロミル
4. まとめ:老後への備えを始めるタイミング
厚生年金の受給実態、長寿化に伴うリスク、そして終活の現状について見てきました。
年金受給額が「月10万円未満」という現実は、誰にとっても無関係な話ではありません。
しかし、今からiDeCoやNISAを活用して「自分年金」を準備したり、心身ともに元気なうちから終活に取り組んだりすることで、将来への不安は大幅に和らげることができます。
連休明けのこの機会に、まずはご自身の年金受給見込額を確認することから始めてみてはいかがでしょうか。
その小さな一歩が、安心でゆとりのある老後生活を築くための重要な鍵となります。
※当記事は再編集記事です。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和6年簡易生命表の概況」1 主な年齢の平均余命
- 政府広報オンライン「知っておきたい認知症の基本」
- NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)「第2回終活意識全国調査報告書【確定版】(2025年7月)」
- LIMO「来月、6月支給【厚生年金】およそ5人にひとりが「月10万円未満」65歳以上の約15%「軽度認知障害」とはどういう状態?」
マネー編集部社会保障班