7. まとめにかえて|後期高齢期の家計にどう備えるべきか

75歳以降の家計を把握する際には、平均値だけに依存した判断には注意が必要です。

後期高齢シニア世帯の資産構成を見ると、全体の約3分の2を預貯金が占めています。価格変動の影響を受けにくいという安心感がある一方、物価上昇が続く局面では資産の実質価値が徐々に目減りしていく点には留意が必要です。

見かけ上の残高が変わらなくても、インフレが進めば実際に使える購買力は低下していきます。

さらに、医療費に加えて介護費といった将来的な支出も見据えると、必要となる資金は想定以上に膨らむ可能性があります。

「人生100年時代」といわれる現代において大切なのは、資産の多さそのものではなく、それがどれだけの期間にわたり、どのような生活水準を維持できるかという視点です。

介護は、家族の「頑張り」や「愛情」だけでは限界を迎えるケースが決して少数派ではありません。家族だけで問題を抱え込むのではなく、適切な医療機関や介護施設に「頼る勇気」を持つことが、結果として自分自身の生活を守ることにも繋がります。

老後の不安を和らげるためには、現役期からの資産形成などで「資産寿命を延ばす工夫」をするだけでなく、介護保険や高額療養費などの公的制度を正しく理解し、想定外の支出負担を軽減することが不可欠です。

あわせて、認知症の進行に伴う口座凍結や実家の塩漬けリスクに備え、「家族信託」などを活用して、今ある資産を有効かつ安全に管理する仕組みづくりも視野に入れるべきでしょう。

休暇中など時間がある際に、親の資産状況や今後の希望、いざという時の資産管理と介護体制について家族で率直に話し合っておくことが、将来の生活と家計を守るための最大の防衛策となります。

参考資料