3. 今期2ケタ増益の見通し 株価は3年で9倍も短期は調整
最後に今期(2026年3月期)の取り組みも確認しておきましょう。
今期は第3四半期まで決算を公表しており、三菱ロジスネクストの連結除外影響を除いて売上収益は前年同期比9.2%増、事業利益は同25.5%増と好調でした。受注高は同12.6%増と増勢は継続中で、受注残は12兆円まで拡大しています。
増益の主因は航空・防衛・宇宙事業です。引き続き防衛事業が伸長したほか、民間航空機も利益を伸ばしました。ただしエナジー事業は減益となっており、ガスタービン事業は堅調だった一方、スチームパワー事業および航空エンジン事業の苦戦が重荷でした。
好調な事業環境を受け、第3四半期では通期の見通しを上方修正します。引き上げ幅は受注高が6000億円、事業利益が200億円となり、純利益も300億円の増額となりました。
3.1 三菱重工業の業績予想(2026年3月期)
- 受注高:6兆7000億円(前年同期比:+4.6%)
- 売上収益:4兆8000億円(同+10.1%)
- 事業利益:4100億円(同+15.5%)
- 純利益:2600億円(同+5.9%)
※同第3四半期時点における同社の予想
※前年同期比は三菱ロジスネクストを除く
出所:三菱重工業株式会社「2025年度第3四半期決算説明資料2026年2月4日」
株価はどうでしょうか。イラン紛争は国内株式市場に影を落としており、三菱重工業の株価も急落します。3月最初の営業日に一時5208円の高値を付けたものの、NY原油先物が100ドルを突破した9日は一時4375円まで下落しました。
なお、中長期では上昇トレンドにあり、株価は3年間で+799.3%(9.0倍)、1年間では+95.3%値上がりしています。1年騰落率は同業の川崎重工業(同+84.6%)をやや上回りますが、IHI(同2.6倍)と比べると過熱感は限定的です(2026年3月9日終値)。
当面は中東情勢を意識した不安定な値動きが想定されますが、防衛株には物色が向かいやすい環境でもあります。また、緊張が緩和に向かえばガスタービン事業で好調な業績も注目されやすいでしょう。防衛とガスタービン、2つの成長エンジンを備える三菱重工業から目が離せません。
参考資料
- 外務省「イランへの攻撃に伴う注意喚起」
- 防衛装備庁「中央調達における令和6年度調達実績」
- 三菱重工業株式会社「2019年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)」
- 三菱重工業株式会社「2021年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)」
- 三菱重工業株式会社「2023年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)」
- 三菱重工業株式会社「2025年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)」
- 防衛省「令和6年版防衛白書」
- 防衛装備庁「防衛生産・技術基盤の維持・強化について2024年10月」
- 三菱重工業株式会社「2020年度決算説明及び2021事業計画推進状況2021年5月10日」
- 三菱重工業株式会社「2022年度決算説明資料2023年5月10日」
- 三菱重工業株式会社「2024年度決算説明資料2025年5月9日」
- 三菱重工業株式会社「MHI REPORT2025三菱重工グループ統合レポート2025年3月期(2024年度)」
- 経済産業資源エネルギー庁「ガスだって、「カーボンニュートラル」に!」
- 三菱重工業株式会社「三菱重工業GTCC事業説明会2025年10月7日」
- 経済産業省資源エネルギー庁「エネルギー動向(2025年6月版)」
- 三菱重工業株式会社「2025年3月期 第3四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」
- 三菱重工業株式会社「2025年度第3四半期決算説明資料2026年2月4日」
若山 卓也
