5. 【75歳以上 後期高齢シニア夫婦】医療費・介護費も見据えた老後資金の考え方

老後資金は「平均的な期間」だけでなく、想定より長く生きた場合まで視野に入れて考える必要があります。とくに高齢期の後半では、生活費だけでなく医療費や介護費といった支出も無視できません。

5.1 平均寿命は目安に過ぎない

以下は厚生労働省が公表している平均寿命の統計です。

公表されている平均寿命は、あくまで統計上の平均値です。実際の寿命には大きな個人差があります。
平均寿命が90歳前後に近づくということは、それ以上生きる人も少なくないということを意味します。

夫婦世帯の場合、どちらか一方が90歳代半ば、あるいはそれ以上まで長生きするケースも十分に考えられます。
平均寿命だけを前提に資金計画を立ててしまうと、長生きした場合に備えが不足する可能性があります。

5.2 高齢期に増えやすい医療費と介護費

年齢が上がるにつれて、食費や住居費などの基本的な生活費は大きく変わらない一方で、医療費や介護関連費用の割合が高まりやすくなります。

通院回数が増えたり、薬代が積み重なったりすることで医療費は徐々に増える傾向があります。また、訪問介護やデイサービスなどの介護サービス、自宅改修費用、施設入居費なども家計の負担となる可能性があります。

公的制度によって自己負担割合は抑えられているものの、長期間にわたって支出が続くケースも少なくありません。

5.3 介護が必要になる期間の目安は?

生命保険文化センターのデータによると、介護が必要になる期間は平均で4年7カ月、約5年ほどです。

ただし、認知症や寝たきりの状態が長引くと10年以上に及ぶケースもあります。

5.4 医療費・介護費はどのくらい備えるべきか

老後資金を考える際には、生活費だけでなく医療費や介護費のための資金も一定程度見込んでおくことが重要です。

例えば、

  • 通院や薬代などの医療費
  • 介護サービスの自己負担分
  • 施設利用時の月額費用
  • 自宅のバリアフリー改修費

といった支出が重なる可能性があります。

すべてを正確に予測することは難しいものの、数年から十数年にわたって一定の支出が続く可能性を想定し、余裕資金を確保しておくことが安心につながります。

5.5 老後資金は「平均」ではなく余裕を持って設計

老後資金の取り崩しは、「平均寿命まで持てばよい」という発想ではなく、想定より長く続く可能性まで見据えた設計が求められます。

取り崩し額を年齢や健康状態に応じて調整したり、資産の一部を長期的な運用に回したりすることで、資産寿命を延ばす工夫も考えられます。

長寿そのものは喜ばしいことですが、家計にとっては「資金が必要な期間が延びる」という意味を持ちます。
生活費に加えて医療費や介護費も視野に入れ、余裕を持った資金計画を立てておくことが重要といえるでしょう。