2026年1月23日総務省が発表した2025年の消費者物価指数は、総合指数で前年比3.2%の上昇となり、家計を取り巻く環境は引き続き変化の大きい一年となりました。
とりわけ食料品の価格上昇は、毎日の生活に直結する支出であるだけに、年金などの定期的な収入をもとに生活を組み立てている世帯ほど影響を受けやすい状況といえます。こうした物価の動きは、年金額の改定や生活を支える給付金制度を考えるうえで、欠かせない判断材料のひとつです。そんな年金につい
今回は、年金生活者支援給付金について「支給要件・給付額・手続き方法」など順を追ってわかりやすく解説します。
1. 年金生活者支援給付金、老齢・障害・遺族基礎年金の受給者が対象
年金生活者支援給付金は、年金に上乗せして支給される給付金で、以下の3種類があります。
- 老齢年金生活者支援給付金
- 障害年金生活者支援給付金
- 遺族年金生活者支援給付金
「老齢・障害・遺族」、それぞれの基礎年金を受給中の人が、公的年金を含めても所得が一定基準以下となる場合に、2カ月に一度、受け取ることができるものです。
2. 年金生活者支援給付金、3種類共通の支給要件「前年の所得」
3種類の年金生活者支援給付金には、それぞれの支給要件が設定されています。3種類共通の基準は、受給者本人の「前年の所得」です。
老齢年金生活者支援給付金には、これに加えいくつかの要件が加わります。
2.1 「老齢年金生活者支援給付金」支給要件
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
-
前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は80万6700円以下(※2)である。
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
2.2 「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」の対象者
- それぞれの年金(障害基礎年金もしくは遺族基礎年金)の受給者である
- 前年の所得(※)が479万4000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額)
※ 障害年金、遺族年金等の非課税収入は除く
それぞれの給付金において、上記の要件をすべて満たす場合、年金生活者支援給付金を受け取ることができます。
3. 年金生活者支援給付金、基準月額5450円「納付済・免除期間」によって支給額が決まる
2025年度の年金生活者支援給付金の給付額は、前年の物価変動率にもとづき、+2.7%の増額となりました。
3.1 【2025年度】年金生活者支援給付金の給付額
- 老齢年金生活者支援給付金(基準額):月額5450円
- 障害年金生活者支援給付金:障害等級1級6813円・2級5450円
- 遺族年金生活者支援給付金:月額5450円
老齢年金生活者支援給付金のみ、上記の基準額をもとに「保険料納付済期間や免除期間」に応じて、実際の支給額が計算されます。
4. 年金生活者支援給付金、手続き方法
年金生活者支援給付金の支給対象と判定された人には、日本年金機構から請求書が届きます。
年金受給状況によって、書類形式や郵送タイミングが異なります。ここでは、3つのケースに分けて、送付時の封筒や、手続き方法を紹介しましょう。
4.1 【ケース1】これから老齢年金を受け取り始める人(緑の封筒)
これから老齢年金を受け取り始める人には、65歳になる3か月前に、年金受給に必要な「年金請求書(事前送付用)」に同封して「年金生活者支援給付金請求書」が送付されます。
必要事項を記入し、受給開始年齢の誕生日の前日以降に、年金の請求書とともに年金事務所に提出しましょう。
4.2 【ケース2】すでに年金を受給している人の場合(うす緑の封筒)
すでに基礎年金を受給中で、新たに年金生活者支援給付金を受け取ることができる方には、2025年9月1日から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送されます。
必要事項を記載したら同封の目隠しシールを貼り、差出人欄に住所・氏名を記載したうえで切手を貼ってポストに投函しましょう。
※支給要件に該当するか確認できない方には、年金生活者支援給付金請求書(A4型)および所得情報等を確認するための所得状況届が届きます。
4.3 【ケース3】老齢基礎年金を繰上げ受給中の場合(うすだいだい色の封筒)
老齢基礎年金を繰上げ受給中の方のうち、年金生活者支援給付金の受給権が発生すると見込まれる場合、65歳になる誕生月の初旬(1日生まれの方は前月の初旬)に「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が郵送されます。
必要事項を記載したら同封の目隠しシールを貼り、差出人欄に住所・氏名を記載したうえで切手を貼ってポストに投函しましょう。
※支給要件に該当するか確認できない方には、年金生活者支援給付金請求書(A4型)および所得情報等を確認するための所得状況届が届きます。
一度申請すれば、支給要件を満たす限り2年目以降の手続きは基本的に不要です。また、所得が増えるなどして支給要件を満たさなくなった場合は、「年金生活者支援給付金不該当通知書」が届き、給付金の支給は停止されます。
なお、2025年1月以降に65歳に到達し、日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき)」が届いた人は、「電子申請による提出」ができるようになりました。
電子申請により提出した場合、郵送による提出は不要です。
5. 「食料品などの物価高の影響…」シニア世帯の暮らしは厳しい?
厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」から、高齢者世帯(※)の生活意識に関するリアルな結果を見ていきます。
※高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯
5.1 高齢者世帯の生活意識
- 大変苦しい:25.2%
- やや苦しい:30.6%
- 普通:40.1%
- ややゆとりがある:3.6%
- 大変ゆとりがある:0.6%
この調査結果からは、シニア世帯の暮らし向きが、経済状況によって大きく3つの層に分かれている様子が見えてきます。
まず、半数以上(55.8%)が「大変苦しい」「やや苦しい」と回答し、日々の生活に経済的な厳しさを感じています。
その一方で、「ややゆとりがある」「大変ゆとりがある」と回答した世帯は合計してもわずか4.2%。経済的な余裕を実感できているシニア世帯はごく一握りのようです。
そして、これら両者の中間にあたるのが、40.1%を占める「普通」と回答した層です。この割合は「苦しい」層には及ばないものの、「ゆとりがある」層を大きく上回りました。
経済的な余裕があるとは言えないものの、堅実に暮らす一定数のシニア世帯が、厚い中間層を形成している様子もうかがえます。
6. まとめにかえて
今回は、年金生活者支援給付金について詳しく解説しました。年金生活者支援給付金とは、年金やその他の所得が一定基準以下の方を対象に支給される給付金のことです。
昨今は物価高の影響などで生活が苦しいという方の声も少なくありません。物価高による家計負担の増加で生活が苦しいと感じている方は現役世代も年金世代も多いと思いますが、特に現役時代に比べて収入が下がる年金生活者で家計が苦しいと感じている方は多いようです。
年金生活者支援給付金はあくまで、家計の負担を少しでも和らげるものとふまえ、まずはこのような公的な支援に頼らずとも生活できるだけの老後生活への盤石な基盤づくりを始めてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 総務省「2020年基準 消費者物価指数 全国 2025年(令和7年)平均」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金」
- 厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」用語の説明
- 日本年金機構「令和7年4月分からの年金額をお知らせする「年金額改定通知書」、「年金振込通知書」の発送を行います」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」
- 日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
- 日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求される方の請求手続きの流れ」
- 日本年金機構「個人の方の電子申請(年金生活者支援給付金請求書)」
鶴田 綾