秋も深まり、ご自身の将来や身辺整理について考える方が増える季節となりました。 近年、「子どもがいない」「親族と疎遠」「結婚していない」といった理由で、遺産を託す先がない人の財産について、社会的な関心が高まっています。

「自分の財産はどうなるのか」「寄付したいけれど手続きが分からない」といった不安を持つ方は多いでしょう。

相続人がいない場合、遺産は最終的に国のもの(=国庫)に入ることになります。

ただし、遺言書や信託、寄付などの制度を活用すれば、自分の想いに沿った形で遺産を託すことが可能です。

この記事では、「相続人がいない場合の遺産の行方」と「取るべき対策」をわかりやすく解説します。

1. 相続人がいないと、遺産はどうなる?

相続人がいない方が亡くなった場合、「遺産は自動的に国庫に入る」と思われがちですが、その行方は遺言書の有無によって大きく変わります。

遺言書がない場合でも、遺産がすぐに国のものになるわけではありません。

まず、家庭裁判所が「相続財産管理人」を選任し、その人が遺産を調査・管理します。

この管理人は、亡くなった方に「相続人がいないか」「債権者や受遺者がいないか」を調べ、関係者を探す役割を担います。

それでも誰も現れなかった場合、最終的に遺産は「国庫」に帰属します(民法第959条)。

つまり、何も対策をしなければ国に引き継がれるということです。