老後の生活費について「年金だけでは不安」と感じている方も多いのではないでしょうか。物価高が続く今、特に年金受給者の方にとって、家計を少しでも支える公的な制度は非常に重要です。

本記事で詳しく解説する「年金生活者支援給付金」は、年金等の収入や所得が一定基準以下の人に、年金に加えて支給される生活支援のためのお金です。老齢のほか、障害・遺族の3種類があり、受給要件や金額はそれぞれ異なります。

また、2025年6月には「年金制度改正法」が成立し、短時間労働者の社会保険適用拡大や、働きながら年金をもらう際の在職老齢年金の見直しなど、現役世代やシニアの働き方にも影響する大きな変更がありました。

この記事では、給付金の支給要件、手続き方法に加え、平均的な年金受給額や、公的年金制度の最新動向まで幅広く解説します。ご自身が給付の対象となるのか、また最新の年金制度がキャリアにどう影響するのか、ぜひチェックしてみてください。

1. 【支給要件】年金生活者支援給付金って、どんな場合にもらえる?

「年金生活者支援給付金」は、基礎年金を受給している人が、年金等の収入や所得の合計額が一定基準以下となる場合に受け取ることができるお金です。

「年金生活者支援給付金」は3種類あります。それぞれ詳細を見ていきましょう。

1.1 【老齢年金生活者支援給付金】支給要件を見る

老齢年金生活者支援給付金の支給対象となるのは、下記の支給要件をすべて満たす方です。

  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税
  • 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は80万6700円以下(※2)

※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は除く
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される

1.2 【障害年金生活者支援給付金】支給要件を見る

障害年金生活者支援給付金の支給対象となるのは、下記の支給要件をすべて満たす方です。

  • 障害基礎年金の受給者である
  • 前年の所得(※)が479万4000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)

※ 障害年金等の非課税収入は除く

1.3 【遺族年金生活者支援給付金】支給要件を見る

遺族年金生活者支援給付金の支給対象となるのは、下記の支給要件をすべて満たす方です。

  • 遺族基礎年金の受給者である
  • 前年の所得(※)が479万4000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)

※ 遺族年金等の非課税収入は除く