5. 厚生労働省の統計からみる、日本の事業所における「メンタルヘルスの実態」
ここからは、厚生労働省の「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)」に基づき、日本の事業所におけるメンタルヘルス対策の現状を見ていきましょう。
5.1 事業所の約1割でメンタルヘルス不調による長期休業者がいる
直近1年間(令和5年11月1日から令和6年10月31日までの期間)に、メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者がいる事業所の割合は12.8%に上ります。
また、休業または退職した労働者がいる事業所の割合は10.2%となりました。休業者の人数の割合は0.5%となっており、退職者数の割合は0.2%です。
5.2 メンタルヘルス対策では「ストレスチェック」が最も多い
メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は63.2%でした。
事業所の規模が大きくなるほど実施率は高く、1000人以上の事業所では100%、500人以上999人以下の事業所でも99.9%が何らかの対策に取り組んでいます。
具体的な取り組み内容として最も多く実施されているのは「ストレスチェックの実施」で65.3%をマーク。次いで「職場環境等の評価及び改善(ストレスチェック結果の集団(部、課など)ごとの分析を含む)」が54.7%、「メンタルヘルスに関する情報提供や教育研修」が36.8%と続いています。
5.3 ストレスチェック結果の活用は進むも分析には課題
ストレスチェックを実施した事業所のうち、結果を分析した事業所は75.4%。さらにその分析結果を活用した事業所は76.8%と、分析後の活用も進んでいます。一方、分析をしていない事業所が22.1%あることもわかります。
分析結果を活用した事業所がどのように活用しているのか、その内容を見ると「残業時間削減、休暇取得に向けた取組」や「相談窓口の設置」といった項目が上位に挙がっています。具体的には、以下の項目で結果が多く活用されています。
- 残業時間削減、休暇取得に向けた取組:48.5%
- 相談窓口の設置:41.2%
- 上司・同僚に支援を求めやすい環境の整備:36.7%
- 業務配分の見直し:34.8%
- 人員体制・組織の見直し:33.8%
- 衛生委員会又は安全衛生委員会での審議:30.5%
ただ、分析はしているものの分析結果を活用していない事業所も19.5%存在しており、ストレスチェックの実施とその後の対策への結びつけには、引き続き課題が残っていると言えます。
企業はメンタルヘルス対策の必要性を認識しつつも、その取り組みにはいまだに差があり、とくに分析結果を具体的な職場改善に結びつける点が重要であることがわかります。
6. まとめにかえて
Z世代はセルフケアの必要性を感じながらも、その方法を知らずにいる人が多くいます。セルフケアの情報を集めている人のなかでも、Z世代はSNSを通じて情報を得る傾向があることがわかりました。
SNSは手軽であり、セルフケアに関心を持つきっかけになる一方で、誤情報に接触するリスクもあります。健康に関する情報については、情報には信憑性があるのかを常に確認する姿勢が不可欠と言えるでしょう。
参考資料
LIMO・U23編集部



