現代社会において、「セルフケア」は心身の健康を保つために欠かせない概念となっています。
セルフケアの需要がたかまりつつある一方で、Z世代のような若者世代は実際にどのようにセルフケアに向き合っているのでしょうか。今回はZ世代のセルフケアに対する意識や、情報収集の方法をご紹介します。
1. Z世代のセルフケアに対する意識とは?
第一三共ヘルスケア「Z世代セルフケア白書2025」調査を見ていきましょう。
1.1 調査概要
- 調査主体:第一三共ヘルスケア株式会社(調査実施機関:株式会社インテージ)
- 調査名称:「Z世代セルフケア白書2025」調査
- 調査対象:全国の15~59歳までの男女1,043名
- 調査方法:インターネット調査
- 調査期間:2025年9月5〜10日
※本リリース内では、20代以下の男女を「Z世代」、30代〜50代男女を「ミドル世代」として集計・比較しています。
1.2 セルフケアへの高い関心と実践の難しさ
【Z世代】セルフケアの認知度(n=414)
セルフケアを「知っている」(合計): 75.1%
- 意味、内容まで知っている: 25.6%
- 言葉だけは知っている、聞いたことがある: 49.5%
- 知らない、聞いたこともない: 24.9%
【ミドル世代】セルフケアの認知度(n=629)
セルフケアを「知っている」(合計): 77.3%
- 意味、内容まで知っている: 19.4%
- 言葉だけは知っている、聞いたことがある: 57.9%
- 知らない、聞いたこともない: 22.7%
Z世代の75.1%が「セルフケア」という言葉を知っています。ミドル世代の認知度は77.3%のため、大差ありません。
しかし「意味、内容まで知っている」人はZ世代のほうが多く、25.6%となっています。ミドル世代のほうが言葉をなんとなく知っている人が多いことがわかりますね。
この結果は、セルフケアの実践にも影響しているようです。次からはセルフケアの実践について見ていきましょう。
2. セルフケアの課題は「実践不足」約半数は実践に課題を抱えている
Z世代は健康やメンタルケアへの関心が高い一方で、実際に行動に移せている人は半数にとどまります。
2.1 「知っている」だけでは足りない? Z世代にもみられるセルフケア実践度とのギャップ
【Z世代】セルフケアの実践度
セルフケアを「できている」 (合計): 52.4%
- できている: 7.0%
- どちらかといえばできている: 45.4%
- どちらかといえばできていない: 39.6%
- できているない: 8.0%
【ミドル世代】セルフケアの実践度
セルフケアを「できている」 (合計): 44.9%
- できている: 3.2%
- どちらかといえばできている: 41.7%
- どちらかといえばできていない: 44.8%
- できているない: 10.3%
実際に「セルフケアをできている」と感じているZ世代は52.4%にとどまっています。ミドル世代の44.9%よりは高いものの、約半数は実践に課題を抱えていることがわかります。
SNSや動画で情報があふれている現代、何から始めればいいのか迷いやすい状況とも言えるでしょう。
また、仕事や学業、趣味などタスクを詰め込みがちなZ世代のような若者ほど「セルフケア=特別な時間」と捉えることで、日常の延長として取り入れにくい現実もあるかもしれません。
3. セルフケアを実践できない理由は「情報不足」?
セルフケアをできていないと回答した人にその理由を尋ねると「何をすればいいのか分からないから」が38.6%で1位になりました。
3.1 ギャップを生み出す理由は「何をすればいいかわからない」が約4割
セルフケアが実践できていない理由 ※複数回答 (n=544)
- 1位: 何をすればいいのか分からないから: 38.6%
- 2位: 良い睡眠がとれていないと思うから: 30.5%
- 3位: 仕事や勉強、家事・育児などで忙しいから: 28.3%
- 4位: 運動・身体を動かす機会が減ったから: 27.2%
- 5位: 生活リズムが乱れているから: 20.2%
セルフケアをできていないと回答した人にその理由を尋ねると、「何をすればいいのか分からないから」が38.6%で1位になりました。
次いで「良い睡眠がとれていないと思うから」が30.5%、「仕事や勉強などで忙しいから」が28.3%と続き、情報不足と多忙が主な障壁となっていることがわかります。
そんな「情報不足」を感じるZ世代は、実際にどのように健康やセルフケアに関する情報を集めているのでしょうか。
3.2 情報収集の主力は「テレビ」と「検索エンジン」世代差も見受けられる
【Z世代】健康やセルフケア情報入手経路(n=258)
- 1位: テレビ番組、新聞や雑誌記事: 43.8%
- 2位: 検索エンジン: 38.8%
- 3位: SNS: 38.4%
- 4位: 家族、友人や知人: 26.0%
- 5位: ウェブメディア: 24.4%
【ミドル世代】健康やセルフケア情報入手経路(n=427)
- 1位: テレビ番組、新聞や雑誌記事: 56.0%
- 2位: 検索エンジン: 44.5%
- 3位: ウェブメディア: 31.1%
- 4位: 企業のウェブサイト: 26.0%
- 5位: 医療機関: 23.9%
Z世代、ミドル世代ともに情報収集に最も利用するのは「テレビ番組、新聞や雑誌記事」。次いで「検索エンジン」がランクインしているのも共通しています。
しかし3位以降は、Z世代とミドル世代とでは異なる傾向を示しています。Z世代では「SNS」「家族、友人や知人」「ウェブメディア」の順でランクインしている一方、ミドル世代では「ウェブメディア」「企業のウェブサイト」「医療機関」の順でした。
「ウェブメディア」は双方でランクインしているものの、ミドル世代では「企業のウェブサイト」「医療機関」などの比較的信頼できる情報源を利用していることがわかります。Z世代は「SNS」「家族、友人や知人」といった、誤った情報もある情報源を利用していることがわかります。
それでは、Z世代は誤情報についてどのように認識しているのでしょうか。
4. Z世代ならではの感覚か?「誤情報」との接触リスクと信頼する情報源
【全体】健康やセルフケアに関する誤情報の接触経験(n=1,043)
誤った情報に接触した経験がある(合計): 29.0%
- 経験したことがある。また、その正しくない健康情報で、健康被害など、不具合を被ったことがある: 3.5%
- 経験したことがある。しかし、その正しくない健康情報で健康被害などの不具合を被ったことはない: 25.5%
- 誤った情報かどうか確認していないので、分からない: 34.7%
- 健康に関する間違った情報に接触したことはない: 36.3%
【Z世代】健康やセルフケアに関する誤情報の接触経験(n=414)
誤った情報に接触した経験がある(合計): 35.5%
- 経験したことがある。また、その正しくない健康情報で、健康被害など、不具合を被ったことがある: 5.1%
- 経験したことがある。しかし、その正しくない健康情報で健康被害などの不具合を被ったことはない: 30.4%
- 誤った情報かどうか確認していないので、分からない: 25.6%
- 健康に関する間違った情報に接触したことはない: 38.9%
【ミドル世代】健康やセルフケアに関する誤情報の接触経験(n=629)
誤った情報に接触した経験がある(合計): 24.7%
- 経験したことがある。また、その正しくない健康情報で、健康被害など、不具合を被ったことがある: 2.4%
- 経験したことがある。しかし、その正しくない健康情報で健康被害などの不具合を被ったことはない: 22.3%
- 誤った情報かどうか確認していないので、分からない: 40.7%
- 健康に関する間違った情報に接触したことはない: 34.7%
SNSの利便性の裏側には、誤情報に接するリスクが潜んでいます。健康やセルフケアに関する誤情報に接触した経験があるZ世代は35.5%で、ミドル世代の24.7%より10.8ポイントも高い結果となりました。
誤情報に接触する機会の違いに関係するかもしれないのが、信頼できる情報源の認識が違うことです。詳しく見ていきましょう。
4.1 Z世代が信頼する情報源は「動画」「検索上位」、一方で「SNS投稿」が大きく伸長
信頼して利用することがある健康やセルフケアに関する情報について、世代別の回答をみていきましょう。
医療従事者など専門家の記事や動画
- Z世代 (n=258): 34.1%
- ミドル世代 (n=427): 40.7%
検索サイトで検索上位にでてくる情報
- Z世代: 32.6%
- ミドル世代: 26.7%
ニュースメディアの情報
- Z世代: 23.6%
- ミドル世代: 27.2%
自分に近い症状や悩みを抱える人のSNS投稿
- Z世代: 21.7%
- ミドル世代: 15.5%
有名企業のサイト
- Z世代: 19.0%
- ミドル世代: 16.6%
インフルエンサーの発信動画やSNS投稿
- Z世代: 17.4%
- ミドル世代: 7.5%
「いいね」やシェア、再生回数の多いSNS投稿や動画など
- Z世代: 14.7%
- ミドル世代: 3.5%
生成AIの回答
- Z世代: 13.2%
- ミドル世代: 3.5%
テレビや新聞雑誌、ウェブなどで出てくる広告
- Z世代: 12.0%
- ミドル世代: 15.2%
Z世代は健康に関する情報として「インフルエンサーの発信動画やSNS投稿」をミドル世代の2倍以上信頼しており、「いいねやシェア、再生回数の多いSNS投稿」も約4倍信頼して利用しています。
一方、最も信頼度の高い情報源は世代問わず「医療従事者など専門家の記事や動画」であり、専門的な情報とSNS上の一般情報との間で信頼度に大きなギャップがあることがうかがえます。
5. 厚生労働省の統計からみる、日本の事業所における「メンタルヘルスの実態」
ここからは、厚生労働省の「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)」に基づき、日本の事業所におけるメンタルヘルス対策の現状を見ていきましょう。
5.1 事業所の約1割でメンタルヘルス不調による長期休業者がいる
直近1年間(令和5年11月1日から令和6年10月31日までの期間)に、メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者がいる事業所の割合は12.8%に上ります。
また、休業または退職した労働者がいる事業所の割合は10.2%となりました。休業者の人数の割合は0.5%となっており、退職者数の割合は0.2%です。
5.2 メンタルヘルス対策では「ストレスチェック」が最も多い
メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は63.2%でした。
事業所の規模が大きくなるほど実施率は高く、1000人以上の事業所では100%、500人以上999人以下の事業所でも99.9%が何らかの対策に取り組んでいます。
具体的な取り組み内容として最も多く実施されているのは「ストレスチェックの実施」で65.3%をマーク。次いで「職場環境等の評価及び改善(ストレスチェック結果の集団(部、課など)ごとの分析を含む)」が54.7%、「メンタルヘルスに関する情報提供や教育研修」が36.8%と続いています。
5.3 ストレスチェック結果の活用は進むも分析には課題
ストレスチェックを実施した事業所のうち、結果を分析した事業所は75.4%。さらにその分析結果を活用した事業所は76.8%と、分析後の活用も進んでいます。一方、分析をしていない事業所が22.1%あることもわかります。
分析結果を活用した事業所がどのように活用しているのか、その内容を見ると「残業時間削減、休暇取得に向けた取組」や「相談窓口の設置」といった項目が上位に挙がっています。具体的には、以下の項目で結果が多く活用されています。
- 残業時間削減、休暇取得に向けた取組:48.5%
- 相談窓口の設置:41.2%
- 上司・同僚に支援を求めやすい環境の整備:36.7%
- 業務配分の見直し:34.8%
- 人員体制・組織の見直し:33.8%
- 衛生委員会又は安全衛生委員会での審議:30.5%
ただ、分析はしているものの分析結果を活用していない事業所も19.5%存在しており、ストレスチェックの実施とその後の対策への結びつけには、引き続き課題が残っていると言えます。
企業はメンタルヘルス対策の必要性を認識しつつも、その取り組みにはいまだに差があり、とくに分析結果を具体的な職場改善に結びつける点が重要であることがわかります。
6. まとめにかえて
Z世代はセルフケアの必要性を感じながらも、その方法を知らずにいる人が多くいます。セルフケアの情報を集めている人のなかでも、Z世代はSNSを通じて情報を得る傾向があることがわかりました。
SNSは手軽であり、セルフケアに関心を持つきっかけになる一方で、誤情報に接触するリスクもあります。健康に関する情報については、情報には信憑性があるのかを常に確認する姿勢が不可欠と言えるでしょう。
参考資料
LIMO・U23編集部