10月は生命保険料控除証明書が届く時期です。年末が近づき、会社員の方にとっては年末調整、個人事業主の方にとっては確定申告の準備が本格化します。そこで注目したいのが、税負担を軽くしてくれる「生命保険料控除」のしくみです。

今回は、控除の基本的な仕組みと、特に子育て世帯にとって見逃せない2026年分限定の控充措置について、最新の税制改正情報をもとにわかりやすく解説します。

1. 年末調整の必須知識!「生命保険料控除、しくみと3つの控除枠」

生命保険料控除とは1/7

生命保険料控除とは

umaruchan4678/shutterstock.com

生命保険料控除は、支払った保険料に応じて所得から一定額を差し引き、課税所得を減らす「所得控除」の一つです。これにより税負担が軽くなり、結果として手取りを増やすメリットがあります。

この制度は、契約した時期によって取り扱いが異なります。

新契約と旧契約で生命保険料控除の取り扱いが異なる2/7

新契約と旧契約で生命保険料控除の取り扱いが異なる

出所:国税庁「No.1140 生命保険料控除」

  • 新契約:2012年1月1日以降の契約
  • 旧契約:2011年12月31日以前の契約

新契約では、「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3種類の控除枠があり、それぞれ最高4万円、合計で最大12万円(所得税)の控除が受けられます。

  • 一般生命保険料控除
    遺族保障(定期保険、終身保険など)、学資保険などが対象
  • 介護医療保険料控除
    医療保険、がん保険、介護保険などが対象
  • 個人年金保険料控除
    「個人年金保険税制適格特約」が付加されている個人年金保険が対象

旧契約は「旧一般生命保険料控除」「旧個人年金保険料控除」の2種類で、所得税の限度額はそれぞれ最高5万円です。新旧両方に加入している場合でも、所得税の最大控除額は12万円、住民税は7万円です。

2. 税負担を軽減できる!「所得控除と税額控除、どこが違う?」

所得控除と税額控除、どこが違う?3/7

所得控除と税額控除

各種資料をもとにLIMO編集部作成

年末調整や確定申告で必ず耳にする「控除」は、税負担を軽減できるしくみです。大きく分けて「所得控除」と「税額控除」の2種類があります。

この2つの違いを整理しておきましょう。

2.1 所得控除=収入から課税所得を減らす

所得控除=収入から課税所得を減らす4/7

所得控除=収入から課税所得を減らす

各種資料をもとにLIMO編集部作成

所得控除(生命保険料控除など)は、収入から課税のベースとなる所得を減らすしくみです。課税所得に税率をかける前の金額が減るため、所得が高い人ほど高い税率が適用される結果、節税効果が大きくなります。

2.2 税額控除=納税額から一定額を直接差し引く

税額控除=納税額から一定額を減らす5/7

税額控除=納税額から一定額を減らす

各種資料をもとにLIMO編集部作成

税額控除(住宅ローン控除など)は、いったん決まった税額そのものから一定額を直接差し引くしくみです。算出された税額から直接引かれるため、誰もが等しく、確実に控除額と同じだけ税金が安くなります。

税負担を効率的に減らすには、この二つの仕組みを正しく理解し、適用できる控除を漏れなく申告することが大切です。

3. 1年限りの時限措置!「子育て世帯の一般生命保険料控除、最大6万円に」

令和7年度の税制改正により、子育て支援策の一環として、生命保険料控除の一部が1年限りの時限措置として拡充されます。

  • 適用時期:令和8年(2026年)分の所得税の計算において適用
  • 対象者:年齢23歳未満の扶養親族を有する居住者
  • 対象となる控除:新制度の「一般生命保険料控除」

この拡充により、現行では最高4万円の一般生命保険料控除の限度額が、子育て世帯に限り最大6万円に引き上げられます。

1年間の時限措置「生命保険料控除の拡充について」6/7

1年間の時限措置「生命保険料控除の拡充について」

出所:財務省「令和7年度税制改正の大綱(1/9)」

年間12万円の保険料を支払っている場合、現行制度では一律4万円の控除だったものが、拡充後は一律6万円の控除を受けられるようになり、子育て世帯の恩恵が大きくなります。

ただし、全体の控除適用限度額(介護医療・個人年金控除を含む)は、現行と同じ12万円で変更はありません。

3.1 生命保険料控除の拡充、恒久化の要望

この1年限りの時限措置に対し、生命保険業界を代表する一般社団法人である生命保険協会は、「令和8年度税制改正に関する要望」をまとめました。

協会は、令和8年分の所得に限定されている、23歳未満の扶養親族がいる世帯への一般生命保険料控除2万円の上乗せを、令和9年以降も継続し恒久的な制度とするよう求めています。

令和8年度税制改正に関する要望7/7

令和8年度税制改正に関する要望

出所:一般社団法人生命保険協会「令和8年度税制改正に関する要望」

この要望の背景には、国民が安心して保険による自助努力を続けられるよう、税制面から継続的な支援を行うことが、社会全体の安定に貢献するという考えがあります。子育て世帯の方々は、今後の税制改正の動向に注目すると良いでしょう。

4. まとめにかえて

今回は、税負担を軽くする生命保険料控除の基本的なしくみから、最新の時限措置まで解説しました。生命保険料控除は「所得控除」であり課税所得を減らし、その結果、税金の負担を軽減する効果があります。

来年の2026年分(令和8年分)限定で、23歳未満の扶養親族がいる子育て世帯の一般生命保険料控除の上限が4万円から6万円に引き上げられる点については、手取りを増やす貴重なチャンスとなるでしょう。ただし、現時点では1年限りの措置であり、恒久化については生命保険協会から要望が出されている段階です。今後の動向に注目が集まります。

まずは年末調整までに、ご自身の控除証明書を確認してみることが大切です。そして、不足している保障などがあればこの機会に保険の見直しをしてみてはいかがでしょうか。

参考資料

村岸 理美