3. 年金からの天引きで実感しにくい「負担感」

65歳以上の多くの人は、介護保険料が年金から自動的に天引きされています。

具体的には、公的年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金など)を受け取る際に、介護保険料や国民健康保険料などが差し引かれたうえで「手取り額」として振り込まれます。

この仕組みは便利な反面、実際に自分がいくら介護保険料を支払っているのかを把握しにくいという問題があります。

介護保険料は、所得に応じて標準13段階に区分されています。ただし、具体的な段階数や各段階の保険料額は、お住まいの市区町村によって異なります。 

収入の少ない人には軽減措置が設けられていますが、年金収入が少ない高齢者にとっては月数千円でも大きな出費です。
たとえば、月6000円の介護保険料は、年間にすると7万円を超えます。

年金が月10万円前後の人にとっては、可処分所得の約6%にあたる計算になり、生活費への影響は小さくありません。

特に単身世帯や低年金の人では、家計全体に占める固定費の割合が高く、「じわじわと生活を圧迫する負担」として感じられています。

また、所得が低いほど「食費・光熱費などの変動費を削って調整する余地」が限られているため、社会保険料の上昇がそのまま家計の圧迫につながります。

「毎月の年金振込額が少しずつ減っている気がする」「でも理由がよく分からない」と感じている高齢者も少なくありません。このような状況が続くと、介護サービスの利用控えや健康面への悪影響が懸念されることから、社会的な支援の充実が求められています。

介護保険料は、年金天引き(特別徴収)の場合でも、「介護保険料額決定通知書」により毎年通知されています。

手元の通知書を確認し、前年からどの程度変化しているのかをチェックしておくことが、家計を守る第一歩といえるでしょう。