2. 自治体によって2倍以上の差がある

介護保険料は、全国共通の金額ではなく、各市区町村が独自に設定しています。

そのため、地域によっては2倍以上の開きがあるのが現実です。

以下は現在(9期)の介護保険料基準額が低い/高い自治体の上位を紹介したものです。

2.1 低額保険者(第9期基準額/月額)

  • 東京都 小笠原村 3374円
  • 北海道 音威子府村 3600円
  • 群馬県 草津町 3600円
  • 宮城県 大河原町 4000円
  • 北海道 根室市 4300円
  • 北海道 深川市 4300円
  • 北海道 登別市 4300円
  • 埼玉県 鳩山町 4300円
  • 千葉県 栄町 4300円
  • 北海道 広尾町 4400円
  • 高知県 津野町 4450円
  • 北海道 芦別市 4500円
  • 北海道 奥尻町 4500円
  • 北海道 置戸町 4500円
  • 北海道 佐呂間町 4500円
  • 山形県 大江町 4500円
  • 岐阜県 八百津町 4500円
  • 北海道 室蘭市 4584円
  • 北海道 沼田町 4600円
  • 北海道 様似町 4600円
  • 秋田県 大潟村 4600円
  • 茨城県 結城市 4600円
  • 愛知県 美浜町 4600円
  • 宮崎県 五ヶ瀬町 4600円

2.2 高額保険者(第9期基準額/月額)

  • 大阪府 大阪市 9249円
  • 大阪府 守口市 8970円
  • 大阪府 門真市 8749円
  • 岩手県 西和賀町 8100円
  • 青森県 七戸町 7900円
  • 東京都 檜原村 7900円
  • 大阪府 松原市 7900円
  • 青森県 東北町 7880円
  • 青森県 東通村 7800円
  • 秋田県 藤里町 7800円
  • 千葉県 鋸南町 7800円
  • 東京都 青ヶ島村 7800円
  • 奈良県 天川村 7800円
  • 和歌山県 御坊市 7800円
  • 高知県 芸西村 7800円
  • 青森県 六ヶ所村 7700円
  • 福島県 三島町 7700円
  • 福島県 双葉町 7633円
  • 群馬県 川場村 7600円
  • 三重県 大台町 7600円

最も高い自治体では月額9000円を超える一方、最も低い自治体では3000円台前半にとどまります。

同じ制度でありながら、地域によってここまで差が生じるのは、主に以下のような理由によります。

2.3 高齢化率の違い

高齢者の割合が高い地域では、介護サービスの利用者が多く、給付費が膨らみやすくなります。結果として、保険料も高く設定されやすい傾向にあります。

特に、地方の小規模自治体では、若年層の流出により高齢化が加速しており、支え手が少なくなる分、1人あたりの負担が増える構造になっています。

2.4 介護サービスの供給体制の違い

介護施設や事業所の整備状況も地域差を生みます。

都市部は事業者が多く競争原理が働きやすいのに対し、地方はサービスの確保自体が難しいため、コストが高くつく傾向があります。

2.5 自治体財政の健全度

自治体によっては、介護保険事業特別会計への繰り入れ(一般財源からの補助)が十分に行えず、その分を保険料に上乗せして賄うケースもあります。

つまり、地域の財政力によっても介護保険料の高低が左右されるのです。

このように、介護保険料の地域差は単なる「格差」ではなく、地域の人口構造・財政状況・サービス体制が複雑に絡み合った結果といえます。

今後も地方では上昇傾向が続くとみられ、自治体間の差はさらに拡大する可能性があります。