11月はの見直し情報が多く発表される時期で、各家庭でも「自分の老後の年金はどれくらいになるのか」を改めて考えるきっかけになります。
特に厚生年金は、勤務先や働き方による個人差で、受給額が大きく変わることが特徴です。
また2025年の制度改正では、iDeCo加入年齢の上限引き上げや企業型DCの改善など、老後資金づくりに役立つ変更も予定されています。
この記事では、厚生年金の平均月額の地域差から国民年金の基礎情報、そしてiDeCoの改正ポイントまで、今のうちに知っておきたい内容をわかりやすくまとめます。
1. 厚生年金の全国平均はいくら?
会社員や公務員、またパートで特定適用事業所(※1)に働き一定要件を満たす人は、老齢厚生年金+老齢基礎年金(国民年金)の併給となります。
厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金(国民年金部分を含む)の全受給権者(※2)の平均年金月額は14万6429円でした。
ただし、男女差・個人差があり、実際に受け取る金額は一人ひとり違います。
※1 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※2 厚生年金の被保険者は第1号~第4号に区分されており、ここでは民間企業などに勤めていた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」(以下記事内では「厚生年金」と表記)の年金月額を紹介
〈全体〉平均年金月額:14万6429円
- 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
- 〈女性〉平均年金月額:10万7200円
※国民年金部分を含む
1.1 厚生年金受給額の個人差
- 1万円未満:4万4420人
- 1万円以上~2万円未満:1万4367人
- 2万円以上~3万円未満:5万231人
- 3万円以上~4万円未満:9万2746人
- 4万円以上~5万円未満:9万8464人
- 5万円以上~6万円未満:13万6190人
- 6万円以上~7万円未満:37万5940人
- 7万円以上~8万円未満:63万7624人
- 8万円以上~9万円未満:87万3828人
- 9万円以上~10万円未満:107万9767人
- 10万円以上~11万円未満:112万6181人
- 11万円以上~12万円未満:105万4333人
- 12万円以上~13万円未満:95万7855人
- 13万円以上~14万円未満:92万3629人
- 14万円以上~15万円未満:94万5907人
- 15万円以上~16万円未満:98万6257人
- 16万円以上~17万円未満:102万6399人
- 17万円以上~18万円未満:105万3851人
- 18万円以上~19万円未満:102万2699人
- 19万円以上~20万円未満:93万6884人
- 20万円以上~21万円未満:80万1770人
- 21万円以上~22万円未満:62万6732人
- 22万円以上~23万円未満:43万6137人
- 23万円以上~24万円未満:28万6572人
- 24万円以上~25万円未満:18万9132人
- 25万円以上~26万円未満:11万9942人
- 26万円以上~27万円未満:7万1648人
- 27万円以上~28万円未満:4万268人
- 28万円以上~29万円未満:2万1012人
- 29万円以上~30万円未満:9652人
- 30万円以上~:1万4292人
このように、厚生年金は幅広い受給額層に分布しています。同時に平均年金月額の「都道府県差」もあるのです。
2. 厚生年金の平均月額が高い/低い都道府県ランキング
厚生年金の平均受給額は、都道府県で差があります。では、平均年金月額が「多い都道府県」「少ない都道府県」はどこなのでしょうか。
厚生労働省の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、ランキング形式で見ていきましょう。
2.1 厚生年金の平均年金月額が「高い」都道府県【上位5都県】
- 1位 神奈川県:16万6578円
- 2位 千葉県:16万1368円
- 3位 東京都:15万9921円
- 4位 奈良県:15万8862円
- 5位 埼玉県:15万8003円
2.2 厚生年金の平均年金月額が「低い」都道府県【上位5県】
- 1位 青森県:12万4383円
- 2位 沖縄県:12万5435円
- 3位 秋田県:12万5476円
- 4位 宮崎県:12万5499円
- 5位 山形県:12万7133円
- 北海道:13万7572円
- 青森県:12万4383円
- 岩手県:12万9036円
- 宮城県:14万1145円
- 秋田県:12万5476円
- 山形県:12万7133円
- 福島県:13万2776円
- 茨城県:14万9104円
- 栃木県:14万5522円
- 群馬県:14万4777円
- 埼玉県:15万8003円
- 千葉県:16万1368円
- 東京都:15万9921円
- 神奈川県:16万6578円
- 新潟県:13万4716円
- 富山県:14万631円
- 石川県:13万7933円
- 福井県:13万6578円
- 山梨県:14万869円
- 長野県:14万743円
- 岐阜県:14万6072円
- 静岡県:14万7916円
- 愛知県:15万6775円
- 三重県:14万8059円
- 滋賀県:15万657円
- 京都府:14万8015円
- 大阪府:15万2686円
- 兵庫県:15万5454円
- 奈良県:15万8862円
- 和歌山県:14万2713円
- 鳥取県:12万9703円
- 島根県:13万1円
- 岡山県:14万2579円
- 広島県:14万7044円
- 山口県:14万4503円
- 徳島県:13万383円
- 香川県:14万453円
- 愛媛県:13万6630円
- 高知県:12万8607円
- 福岡県:14万2104円
- 佐賀県:13万480円
- 長崎県:13万3329円
- 熊本県:12万8956円
- 大分県:13万2853円
- 宮崎県:12万5499円
- 鹿児島県:12万9639円
- 沖縄県:12万5435円
都道府県別の平均年金月額において1位の神奈川県と47位の青森県では、その差は月額4万円以上になります。年間で考えると50万円を超えるため、地域ごとの格差は小さいとはいえないでしょう。
もちろん、厚生年金の受給額は住んでいる場所で決まるわけではありません。この差は、厚生年金受給額がどのように決まるかに理由があります。
3. 厚生年金の金額が決まる仕組みとポイント
厚生年金の受給額の計算には、現役時代の報酬(給与や賞与)と、年金加入期間が使われるため、個人差が出やすいしくみです。
厚生年金の報酬比例部分は、以下の計算式の合計で決まります。
- A(2003年3月以前):平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月までの加入期間の月数
- B(2003年4月以降):平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入期間の月数
厚生年金の受給額は、現役時代の報酬と加入期間の長さによって決まります。このしくみが、都道府県ごとの平均年金額の差に直結しています。
都市部では賃金水準が高い傾向があり、また、地域によって自営業や共働き世帯の比率も異なります。
こうした現役時代の働き方の違いが、年金の平均年金月額の差として表れているのです。
4. 国民年金(老齢基礎年金)の平均受給額について
国民年金(老齢基礎年金)の受給額は、保険料を納付した月数で決まります。そのため、厚生年金に比べて、個人差や男女差、そして地域による格差は大きくありません。
参考として、国民年金(老齢基礎年金)の都道府県別平均年金月額を見てみましょう。
4.1 都道府県別「国民年金(老齢基礎年金)」の平均年金月額
- 北海道:5万6723円
- 青森県:5万5369円
- 岩手県:5万8866円
- 宮城県:5万7706円
- 秋田県:5万7299円
- 山形県:5万8954円
- 福島県:5万8101円
- 茨城県:5万7604円
- 栃木県:5万7749円
- 群馬県:5万8791円
- 埼玉県:5万7252円
- 千葉県:5万7597円
- 東京都:5万6584円
- 神奈川県:5万7597円
- 新潟県:6万113円
- 富山県:6万1220円
- 石川県:6万170円
- 福井県:6万532円
- 山梨県:5万7477円
- 長野県:6万262円
- 岐阜県:5万9501円
- 静岡県:5万9398円
- 愛知県:5万8290円
- 三重県:5万9675円
- 滋賀県:5万9435円
- 京都府:5万6525円
- 大阪府:5万5463円
- 兵庫県:5万7447円
- 奈良県:5万7246円
- 和歌山県:5万6067円
- 鳥取県:5万9770円
- 島根県:6万497円
- 岡山県:5万9891円
- 広島県:5万9286円
- 山口県:5万9406円
- 徳島県:5万7095円
- 香川県:6万25円
- 愛媛県:5万8059円
- 高知県:5万6268円
- 福岡県:5万6622円
- 佐賀県:5万9344円
- 長崎県:5万6876円
- 熊本県:5万8172円
- 大分県:5万6685円
- 宮崎県:5万7571円
- 鹿児島県:5万7963円
- 沖縄県:5万2837円
国民年金(老齢基礎年金)の受給額は、5万円から6万円台が中心で、全国平均は5万7700円です。
この金額だけで老後の生活費をまかなうのは、現実的に厳しいと感じる人も多いでしょう。
そのため、厚生年金の上乗せがない自営業者やフリーランスの方などは特に、現役時代から計画的な資産形成を始めることが大切です。
5. iDeCo・企業型DCなど2025年の年金制度改正ポイント
2025年6月13日、年金制度改正法が成立しました。
今回の改正には、いわゆる「年収106万円の壁」撤廃に向けた社会保険の加入対象の拡大、在職老齢年金の支給停止調整額の引き上げ、遺族年金の見直しなど、公的年金制度の大きな改正内容が盛り込まれています。
同時に、私的年金である「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)」や「企業型DC」に関しても、いくつか改正が加わることになりました。
5.1 iDeCo加入年齢の上限引き上げ(3年以内に実施)
働き方に関係なく「70歳未満」に引き上げる
- 現在のiDeCo加入条件
- 国民年金被保険者
- 老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付を受給していない人
- 加入可能年齢の引き上げ後
- iDeCoを活用した老後の資産形成を継続しようとする人
- 老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付を受給していない人
5.2 企業型DCの拠出限度額の拡充(3年以内に実施)
企業型DCで、加入者本人が掛金を上乗せする「マッチング拠出」の上限額を撤廃。事業主掛金の額を超え、拠出限度額の枠を十分に活用できるようにする。
5.3 企業年金の運用の見える化(5年以内に実施)
企業年金の運営状況の情報を、厚生労働省がとりまとめて開示。他社との比較・分析が可能となる。
6. 老後資金づくりで押さえておきたいポイント総まとめ
厚生年金の平均受給額は、働き方や勤続年数による個人差があります。
受給額が高い都道府県・低い都道府県を見ると、産業構造や平均賃金の違いが退職後の年金水準に反映されていることが考えられます。
一方で、2025年の制度改正により、iDeCo加入年齢の引き上げや企業型DCの改善など、老後資金を増やしやすい環境も整いつつあります。
「自分は平均と比べてどうなのか」「どの制度を活用できるのか」を早めに確認することで、将来の不安を具体的な行動に変えることができます。
年末に向けて見直しの機会が増える今こそ、老後資金づくりに一歩踏み出す良いタイミングです。
参考資料
- 厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構 年金用語集「は行 報酬比例部分」
- 厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
奥田 朝