2. 在職定時改定とは?働くシニアの年金が増える仕組み
「在職定時改定」は、65歳を過ぎても働き続けながら厚生年金に加入している人の年金額を、毎年自動的に再計算する仕組みです。
これまでは、厚生年金の保険料を納めていても、その分の増額は退職して加入期間が終了した後にしか反映されませんでした。そのため、現役時代に高い給与を得ていた人ほど、年金額の増加が実際に反映されるまでに時間がかかるという課題がありました。
こうした不公平を是正するため、2022年4月から「在職定時改定」が導入されました。この制度では、在職中でも毎年1回、10月分の年金支給額が自動的に見直されます。
結果として、働きながら納めた保険料や昇給による報酬の増加分が、これまでよりも早く年金額に反映されるようになり、現役世代の努力がより公平に評価される制度へと改善されました。
※対象者となるのは65歳以上70歳未満の老齢厚生年金の受給者であり、65歳未満の方は繰上げ受給をされている方であっても在職定時改定の対象となりません。
2.1 改定のタイミングと支給時期
実際の反映は、前年9月から当年8月までの実績に基づき、毎年9月分の年金から年金額が改定されます。
この改定が反映されるのが、12月支給分(10月・11月分)となるケースが多いのです。
2.2 対象者と増額の仕組み
在職定時改定の対象となるのは、65歳以上で厚生年金に引き続き加入している人です。たとえ老齢厚生年金をすでに受け取っていても、現役として働き保険料を納めている限り、その納付実績が翌年度の年金額に反映されます。
また、在職老齢年金のように収入が一定額を超えることで支給が一部停止されている場合でも、「支給停止=保険料が無駄になる」わけではありません。
停止期間中の納付分もきちんと記録され、翌年の定時改定で増額の対象となります。
実際の増額額は、給与水準や勤務期間、納付した保険料額によって異なります。
一般的には年間で数千円から数万円程度の増額が見込まれるケースが多いものの、長期勤務や報酬が高い人ほど反映幅は大きくなる傾向にあります。
2.3 確認方法
在職定時改定による増額が行われると、日本年金機構から「年金額改定通知書」が郵送されます。通知書には、改定前後の年金額や増額理由などが明記されています。
あわせて、マイナポータルや日本年金機構の「ねんきんネット」を利用すれば、過去の納付記録や改定後の金額をオンラインで確認できます。
通知書を待たずに自分の年金履歴を随時チェックできるため、特に在職中の人は定期的に確認しておくと安心です。
