3. 注意!手取りが減る場合もある
在職定時改定で年金額が上がる人がいる一方で、必ずしも全員が「手取り増」となるわけではありません。
以下のようなケースでは、逆に支給額が減る、あるいは手取りが目減りする可能性もあります。
3.1 在職老齢年金の支給停止ラインを超える場合
在職老齢年金制度における支給停止調整額は年度ごとに少しずつ見直しがおこなわれてきました。
- 2024年度:50万円
- 2025年度:51万円
- 2026年度:62万円(予定額)
今回の改正(2026年4月から適用)では、51万円(2025年度金額)から62万円へと大幅に引き上げられることになります。
しかし、この図のように年金と給与の合計額が「支給停止基準額」を超えると、在職老齢年金の一部または全額が支給停止されます。
このため、年金の改定で増えた分がそのまま受け取れないこともあります。
3.2 税・保険料の天引き増加
年金が増えると、それに応じて所得税や介護保険料、健康保険料が上がる場合があります。
せっかく増額されても、これらの控除額が増えた結果、手取りベースではほとんど変わらない、あるいは減ることもあるので注意が必要です。
3.3 給与変動による影響
勤務時間や給与が大きく変動した場合、翌年の社会保険料等の算定に影響することがあります。
その結果、手取りが実質的に減少するケースも見られます。
こうした点を踏まえ、「増えた」「減った」だけで一喜一憂せず、原因を明確に把握することが大切です。
