いよいよ年の瀬を迎え、2025年最後の月となりました。 慌ただしい時期だからこそ、将来の生活設計についてじっくりと考える時間を持つことが重要です。
特に老後の生活を支える公的年金制度については、その仕組みを正確に理解しておく必要があります。 日本の公的年金制度は「2階建て」と称され、国民年金と厚生年金の二層構造で成り立っています。 現役時代の働き方によって、老後に受け取れる年金額が大きく変わってくるため、ご自身の年金受給見込み額に意識を向けることが大切です。
本記事では、公的年金制度の基本的な構造から、国民年金と厚生年金の加入対象、保険料、そして実際の平均受給額までを詳しく解説します。
特に、平均受給額のデータからは、国民年金のみの「1階建て」と、厚生年金も合わせた「2階建て」との間で、老後の受給額に大きな格差が生じている実態が明らかになっています。 ご自身の年金受給状況を把握し、ゆとりある老後を迎えるための資金計画を立てるためのヒントとして、ぜひご一読ください。
1. 公的年金制度は「ベース部分の国民年金」と「上乗せ部分の厚生年金」の2階建て
日本の公的年金制度が「2階建て」と呼ばれるのは、基礎部分である国民年金に、追加の厚生年金が組み合わさっている構造だからです。
ここからは、それぞれの制度内容について詳しく見ていきましょう。
1.1 1階部分：国民年金の「加入対象・保険料・受給額」
- 加入対象：原則として日本国内に住む20歳以上から60歳未満の全ての人
- 年金保険料：全員一律（※1）
- 老後の受給額：40年間納付すると65歳以降に満額（※2）を受給できる
※1 国民年金保険料の月額：2025年度 1万7510円
※2 国民年金（老齢基礎年金）の月額：2025年度 6万9308円
1.2 2階部分：厚生年金の「加入対象・保険料・受給額」
- 加入対象：会社員や公務員、一定要件を満たすパート・アルバイトの人が国民年金に上乗せして加入
- 年金保険料：報酬（賞与・給与）に応じて計算される（上限額あり※3）
- 老後の受給額：国民年金に上乗せして受給。厚生年金部分は年金加入期間や納付済保険料により個人差が出る。
※3 保険料額は標準報酬月額（上限65万円）、標準賞与額（上限150万円）に保険料率をかけて計算されます。
2階部分である厚生年金に加入している人は、同時に1階部分の国民年金にも加入している扱いになります。
そのため、どの年金制度に加入していたかによって将来の受給額は変わり、国民年金のみの場合と比べると、厚生年金も併せて加入していた人のほうが受け取れる年金は多くなる傾向があります。
