1.3 再裁定・加給年金などの反映
加給年金や繰下げ受給、加算などの再裁定が完了したタイミングによって、12月支給でまとめて支給されるケースもあります。
ひとつひとつ見ていきましょう。
加給年金
老齢厚生年金の受給者が、一定の条件を満たす配偶者や子を扶養している場合に支給される上乗せの年金です。例えば、配偶者が65歳未満で一定の収入要件を満たす場合などに適用されます。
繰下げ受給
年金の受給開始を遅らせる(例えば66歳以降に)ことで、受給額が増額される制度です。繰下げ期間に応じて年金が増加します。
加算
振替加算(65歳以上の配偶者に支給される場合など)や障害年金・遺族年金に関する加算など、特定の条件で年金に上乗せされる金額です。
再裁定のタイミング
上記のような年金受給者の状況変化(例:扶養親族の変更、繰下げ受給の申請、加算の条件変更など)に基づいて、年金支給額を再計算する手続きが再裁定です。再裁定は、申請や状況変更の通知が日本年金機構に届いた後、処理されるまでに時間がかかることがあります。
年金は通常、偶数月(2月、4月、6月、8月、10月、12月)に支給され、前の2カ月分がまとめて支払われる仕組みです(例:12月は10月・11月分)。特に、年度末や中間点である12月は、調整のタイミングとして選ばれやすいです。
そのため、再裁定を行った後はじめての支給が12月に重なると、年金が変動したように感じやすくなるのです。実際にはどんな例があるのか紹介します。
【具体例】
- ケース①: 配偶者が新たに扶養に入った場合、加給年金の申請を行います。申請から承認まで2~3カ月かかり、承認後に遡及分(過去数カ月分)が12月の支給でまとめて支払われることがあります。
- ケース②: 65歳で年金を受給開始せず、67歳で繰下げ受給を申請した場合、増額された年金額が12月の支給で初めて反映され、遡及分も含まれることがあります。
- ケース③: 老齢基礎年金を受給する配偶者が65歳に達し、振替加算が適用される場合、再裁定のタイミングで12月に増額分がまとめて支給されることがあります。
このように遡及分や増額分が一括で支払われるため、12月の支給額が普段より大きくなること、また12月は年末で注目されやすい時期であり、増額が目立つのかもしれません。
1.4 在職定時改定の反映
厚生年金に加入したまま働いている人は、毎年の「在職定時改定」によって年金額が増額される場合があります。
これが反映されるのも、多くの人が12月支給分になるのです。
では、「在職定時改定」とはどのような制度でしょうか?次章より詳しく解説していきます。