4. 【生活意識】高齢者世帯の55.8%が「生活が苦しい」

物価上昇や社会保険料の負担増が続くなかで、高齢者世帯の家計は一段と厳しさを増しています。

厚生労働省が2025年7月4日に公表した「2024(令和6)年 国民生活基礎調査」によると、高齢者世帯の55.8%が「生活が苦しい」と回答しており、過半数が家計のゆとりを感じられない状況にあります。

その背景には、食料品・光熱費の値上げが続いていることに加え、2025年度から実施される介護保険料や後期高齢者医療保険料の引き上げ、さらに議論が進む高額療養費制度の見直しなど、生活を直接圧迫する制度改正があります。

これらの要因が重なり、特に年金を主な収入源とする世帯では、毎月の支出が年金収入を上回る「家計赤字」に陥るケースが増えています。

今後は、物価上昇や制度改正を見据え、支出の見直しや公的支援制度の活用など、早めの家計対策が求められるでしょう。

5. まとめ

日本の公的年金は、国民年金と厚生年金の2階建て構造で支えられています。

2025年度は支給額が引き上げられたものの、物価上昇や社会保険料の負担増により、多くの高齢者が「生活が苦しい」と感じているのが現状です。

年金はあくまで生活の土台であり、手取り額は税金や保険料の控除で減少します。

家計を安定させるためには、公的年金の仕組みを正しく理解しつつ、支出の見直しや支援制度の活用など、実生活に即した対策を講じることが重要です。

参考資料

加藤 聖人