日本年金機構と厚生労働省は、11月を「ねんきん月間」として、公的年金制度の普及・啓発活動に取り組んでいます。
リタイア後の暮らしを考える上で、誰もが気になるのが「年金は実際いくらもらえるのか」という経済的な問いでしょう。
最新のデータによると、厚生年金加入経験者の平均受給額は月14万6429円ですが、加入期間や現役時代の収入によって、受給額には大きな個人差があります。たとえば、厚生年金(国民年金を含む)の受給額が月10万円に満たない人は21.2%に上ります。
では、逆に豊かな暮らしの目安となり得る月20万円以上を受け取っている人は、一体何パーセントいるのでしょうか?
この記事では、まず公的年金制度の仕組みをおさらいした上で、前述の具体的な受給者割合の分布を確認しながら、現代のリアルな年金事情を詳しく見ていきます。
1. 公的年金制度(国民年金・厚生年金)の仕組みをおさらい
公的年金の支給日は「偶数月の15日」と定められており、もし15日が土日や祝日に重なる場合は、その直前の平日に前倒しされます。
直近の支給日は2025年8月15日(金)で、次回は2025年10月15日(水)に予定されています。
日本の公的年金制度は「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」で構成される2階建ての仕組みです。
ここで、それぞれの基本を確認しておきましょう。
1.1 国民年金(1階部分)の概要を整理
- 加入対象:日本に住む20歳以上から60歳未満の全ての人が原則加入
- 年金保険料:全員一律(※1)
- 老後の受給額:40年間欠かさず納めれば満額(※2)
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被保険者:第1号~第3号に分かれる(※3)
※1 国民年金保険料の月額:2025年度 1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の月額:2025年度 6万9308円
※3 第1号被保険者は農業者・自営業者・学生・無職の人など、第2号被保険者は厚生年金の加入者、第3号被保険者は、第2号被保険者に扶養されている配偶者
1.2 厚生年金(2階部分)の概要を整理
- 加入対象:会社員や公務員、またパート・アルバイトで特定適用事業所(※4)に働き一定要件を満たした方が、国民年金に上乗せで加入
- 年金保険料:収入に応じて決まり(※5)、給与からの天引きで納付
- 老後の受給額:加入期間や納めた保険料により個人差あり
- 被保険者:第1号~第4号に分かれる(※6)
※4 1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※5 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
※6 第1号は、第2号~第4号以外の、民間の事業所に使用される人、第2号は国家公務員共済組合の組合員、第3号は地方公務員共済組合の組合員、第4号は私立学校教職員共済制度の加入者
次章では、それぞれの平均年金月額を、厚生労働省の一次資料をもとに見ていきましょう。
