1.1 75歳未満でも加入できる「障害認定による特例加入」とは?
本来、後期高齢者医療制度は75歳以上が対象ですが、65〜74歳の方でも、一定の障害がある場合には本人の申請によって加入が可能です。
これを「障害認定による特例加入」と呼びます。
申請により制度加入が認められるのは、次のいずれかに該当する方です。
- 障害年金1級または2級
 - 身体障害者手帳1級、2級、3級または「4級の一部」
 - 精神障害者保健福祉手帳1級または2級
 - 東京都愛の手帳(療育手帳)1度または2度
 
※身体障害者手帳の「4級の一部」とは、以下に該当するものです。
- 下肢障害4級1号(両下肢のすべての指を欠くもの)
 - 下肢障害4級3号(一下肢を下腿の2分の1以上で欠くもの)
 - 下肢障害4級4号(一下肢の著しい機能障害)
 - 音声・言語機能障害
 
ただし、具体的な認定基準や手続き方法は自治体によって異なる場合があります。
加入を希望する場合は、お住まいの市区町村または後期高齢者医療広域連合の窓口で詳細を確認することが大切です。
1.2 医療費負担のしくみ
「後期高齢者医療制度」は、各都道府県ごとに設置された「後期高齢者医療広域連合」が運営しており、全国すべての市区町村がこの広域連合に参加しています。
財源は、被保険者の保険料・公費(国・都道府県・市区町村)・現役世代からの支援金によって構成されており、世代間で支え合う仕組みになっています。
後期高齢者医療制度における医療費の自己負担割合は、原則として1割負担です。ただし、所得水準に応じて2割または3割に引き上げられる場合があります。
- 一般所得者等(課税所得28万円未満):1割負担
 - 一定以上所得者(課税所得28万円以上145万円未満):2割負担
 - 現役並み所得者(課税所得145万円以上):3割負担
 
「課税所得」とは、所得控除を差し引いたあとの金額を指し、住民税の課税基準と連動しています。
例えば、夫婦世帯や年金収入のある方では、年金収入額や世帯合算所得によっても判定結果が変わる場合があります。
また、負担割合の見直しは、毎年8月に行われるのが一般的です。
前年の所得が確定した段階で新しい負担区分が適用されるため、収入変動があった場合は注意が必要です。