10月に入り、朝晩は過ごしやすい季節となりました。年末に向けて何かと物入りになる時期ですが、家計の状況はいかがでしょうか。
日々の生活費だけでなく、老後の生活設計も重要な課題です。
10月15日は、2カ月に一度支給される年金支給日です。「年金」について改めて考えるのによいタイミングでしょう。
2025年度の公的年金額は前年度から+1.9%の引き上げとなりましたが、物価や賃金の変動を反映する仕組みにより、実質的には目減りしている状況です。
この記事では、公的年金制度の基本から、60歳代から90歳代以上の国民年金・厚生年金の平均月額、そして2025年度の年金額改定の詳細について、わかりやすく解説します。
1. 日公的年金制度は「2階建て構造」
日本の公的年金制度は、しばしば「2階建て」と表現されます。
20~60歳未満の原則すべての方が加入する「国民年金」が1階部分であり、その上に会社員や公務員などが加入する「厚生年金」が2階部分として上乗せされます。
それぞれの年金制度の基本的な仕組みを確認しましょう。
1.1 1階部分:国民年金(基礎年金)
- 加入対象:日本国内に居住する20歳以上60歳未満のすべての人が原則として加入します。
- 年金保険料:加入者全員が一律です。(※1)
- 老後の受給額:保険料を40年間納付した場合、65歳以降に満額(※2)を受け取れます
※1 国民年金保険料の月額:2025年度 1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の月額:2025年度 6万9308円
1.2 2階部分:厚生年金(被用者年金)
- 加入対象:会社員や公務員のほか、特定の条件を満たすパートタイマーやアルバイトも国民年金に加えて加入します。
- 年金保険料:報酬(給与や賞与)に応じて算出されます。(上限額あり)
- 老後の受給額:国民年金に上乗せして支給されます。厚生年金部分は、加入期間や納付した保険料によって個人差が生じます
1.3 働き方で変わる、老後に受け取れる2つの年金タイプ
現役時代の働き方によって、加入する年金制度は「国民年金のみの人」と「国民年金と厚生年金の両方に加入する人」に分かれます。
その結果、老後に受給する年金の種類も変わってきます。
次に、厚生労働省の公表資料を基に、現在の高齢者世代が実際に受け取っている年金の平均額を見ていきましょう。