一雨ごとに秋の深まりを感じ、肌寒さが身に染みる時節となりました。
老後に入ると、主な収入源は公的年金となり、多くの方が現役時代よりも収入が減少する傾向にあります。
厚生労働省が公表した「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金+国民年金の平均受給額は月額約14万円、国民年金の平均受給額は月額約5万円です。
ここから税金や社会保険料が天引きされると、年金収入だけで老後生活を過ごすには十分とは言えず、「生活が苦しい」と感じる方が少なくありません。
そのため2019年から、基礎年金を受給していて年金やその他の所得が一定水準に満たない人を対象とした「年金生活者支援給付金」制度が設けられています。
本記事では、この「年金生活者支援給付金」の対象者や給付基準額についてわかりやすく解説します。
※LIMOでは、個別のご相談・お問い合わせにはお答えできません。
1. 年に約6万円が上乗せ支給される「年金生活者支援給付金」とは?
年金生活者支援給付金は、年金や収入が少なく、経済的に困難な状況にある高齢者世帯を支援する目的で設けられた制度です。
この給付金を受け取るには、「老齢基礎年金(国民年金)」「障害年金」「遺族年金」のいずれかを受給していることが前提条件となり、加えて複数の定められた要件をすべて満たす必要があります。
本章では、その中でも特に多くの高齢者に関係する「老齢年金生活者支援給付金」に焦点を当て、受給資格や給付額の基準について確認していきます。
1.1 【要件を整理】「老齢年金生活者支援給付金」を受け取れるのはどんな人?
「老齢年金生活者支援給付金」を受け取るには、以下のすべての条件を満たす必要があります。
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者である
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税である
- 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得(給与所得や利子所得など)との合計額が90万9000円以下である
なお、支給額を判断する際、障害年金や遺族年金などの非課税収入は所得として扱われません。
また、「基準をわずかに超えて対象外となる人」と「基準ぎりぎりで受給できる人」との間に不公平が生じないように、一定範囲の所得がある場合には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
具体的には、昭和31年4月2日以降に生まれた人で所得が80万9000円を超え90万9000円以下の方、または昭和31年4月1日以前に生まれた人で所得が80万6700円を超え90万6700円以下の方が、その対象となります。