4. 「給付付き税額控除」は中間層の救世主になる?

7月の参議院選挙では、「一律給付金」の是非も有権者の関心を集めました。

その結果を受け、現在は政府・与野党間で、より持続的かつ公平な支援のあり方として「給付付き税額控除」を検討する動きが強まっています。

給付付き税額控除は、税額控除(減税)と給付政策を組み合わせた新しい形の支援策です。具体的には、所得税額から一定額を控除し、減税しきれない差額分は現金給付として支給します。

この仕組みは、2024年に実施された「定額減税」に形は似ていますが、給付付き税額控除の方が低所得者層への支援に重点を置ける点で大きく異なります。今後、制度設計を進める上では、定額減税の経験がモデルとなる可能性もあるでしょう。

給付付き税額控除は現役世代も年金世帯・非課税世帯も恩恵を受けやすいのが強みですが、所得・資産の把握などに課題を残します。

この重要な議論が、財源論に終始することなく、国民の生活負担を確実に緩和するための制度設計へと進展することが、今、強く望まれています。

5. まとめ

住民税非課税世帯への給付は、これまでも多く行われてきました。しかし、近年の頻発具合や不公平感から、給付政策自体に不満が募っています。

従来の給付にこだわらない、斬新かつ一定の効果が見込める経済施策が求められます。とくに給付付き税額控除には、引き続き注目する必要があるでしょう。

参考資料

石上 ユウキ