1. 「給付付き税額控除」ってなに?仕組みとポイント

「給付付き税額控除(きゅうふつきぜいがくこうじょ)」というのは、簡単に言えば、「減税」と「現金給付」をセットにした仕組みです。

普通の税額控除は、払う税金から一定額を差し引くだけでした。所得が低くてそもそも税金をほとんど払っていない人は、その恩恵を受けにくいという問題がありました。

この制度では、その「控除しきれない分」を現金で給付します。つまり、税金を払っていない人でも支援が届くのが最大の特徴です。

1.1 【例】控除額を4万円とした場合のイメージ

この制度がどのように機能するのかを、具体的なケースで確認しましょう。

※以下の数値はシミュレーションです。

例:【給付付き税額控除】控除額を4万円とした場合

例:【給付付き税額控除】控除額を4万円とした場合

LIMO編集部作成

【高所得層】Aさんの場合

  • 所得税の納税額:5万円
  • 控除額:4万円
  • 給付額:なし
  • 結果:税額が1万円に減る
  • メリット:税負担が軽くなる

【中所得層】Bさんの場合

  • 所得税の納税額:4万円
  • 控除額:4万円
  • 給付額:なし
  • 結果:税額 ゼロ
  • メリット:税負担がなくなる

【低所得者層】Cさんの場合

  • 所得税の納税額:2万円
  • 控除額:4万円
  • 給付額:2万円
  • 結果:税額ゼロ+2万円給付
  • メリット:税負担ゼロ(2万円の節税)、さらに2万円の現金給付(実質的な収入増)

【非課税世帯】Dさんの場合

  • 所得税の納税額:0円
  • 控除額:4万円
  • 給付額:4万円
  • 結果:全額給付
  • メリット:税負担なし、4万円の給付

このように、所得が低いほど「給付」が増える仕組みになっています。高所得者は減税のみ、中・低所得者や非課税世帯は現金給付も受けられるので、支援が公平に行き渡るのがポイントです。

次章では、現金給付ではなく「給付付き税額控除」が検討されている背景についても見ていきましょう。