1.1 長期

長期投資とは、数十年にわたり時間をかけて資産を育てていく方法を指します。

短期間では株価が大きく揺れ動くものの、長い目で見れば経済の成長とともに上昇していく傾向があります。

こうした時間の力を利用して、価格変動のリスクを吸収しながら安定的な資産形成をめざすのが長期投資の狙いです。

長期といっても、50歳からの投資では20年前後が現実的な運用期間です。

この期間であっても、市場の成長や複利の効果を取り込めば、預金だけでは得られないリターンを期待できます。短期的な価格変動の影響を平準化する意味でも、一定の長さを持つ投資期間は大きな武器となります。

1.2 積立

積立投資とは、毎月決まった金額でコツコツと金融商品を購入し続ける方法です。

購入のタイミングを気にする必要がなく、価格が高いときは少なく、安いときは多く買えるため、結果的に平均購入単価を引き下げる効果があります。これは「ドルコスト平均法」と呼ばれる仕組みです。

たとえば、毎月1万円を投資信託に回す場合、基準価額が1万円のときは1口、5000円まで下がったときには2口購入できます。

こうして相場の上下に惑わされず、安定的に資産を積み上げることが可能になります。

50代では一括投資に走りがちですが、積立を続けることで市場変動に左右されず、安定的に資産を積み上げることができます。

1.3 分散

分散投資とは、一つの銘柄や資産に偏らず、複数の投資対象に資金を振り分けることをいいます。

これにより、もし特定の資産が大きく値下がりしても、全体への影響を和らげることができます。

具体的には、国内株式だけでなく海外株式や債券、不動産などに資金を振り分けたり、業種や企業規模を分けて投資したりすることで、リスクを抑える効果が期待できます。

50代からの投資では「大きな失敗を避けること」が特に重要であり、分散投資はそのための有効な手段です。

1.4 「長期・積立・分散」の投資のメリット

金融庁が公開しているデータでは、日経平均株価指数に30年間積立投資を行ったケースが紹介されています。

50代からであれば資料よりは投資期間は短くなりますが、計画的に取り組むことで老後資金に向けた十分な成果を期待できるといえるでしょう。

「長期・積立・分散」の投資

「長期・積立・分散」の投資

出所:金融庁 総合政策局 「長期・積立・分散投資とNISA制度」