昨今、様々な企業が値上げの発表をしております。
飲食、インフラ、交通など、私たちの生活に欠かせない企業の値上げを聞くと、今後の出費が増えて生活が厳しくなってしまうのではないかと不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
総務省「2020年基準 消費者物価指数 全国 2026年(令和8年)4月分(2026年5月22日公表)」によれば、消費者物価指数の総合指数は前年同月比で1.4%上昇しています。
その一方で、株式会社野村総合研究所の調査によると、物価高が続くなかでも資産を増やしながら「富裕層・超富裕層」と呼ばれる層に属する世帯が増加傾向にあるようです。
今回の記事では、日本で増加傾向にある「富裕層・超富裕層の割合」と、値上げが続く中でもお金持ちが増えている要因について解説してきます。
1. 【富裕層の定義】富裕層ってどんな世帯を指すの?
「富裕層」とされるのは、具体的にどのような世帯を指すのでしょうか。
ここでは、野村総合研究所のレポートをもとに、その定義を確認します。
同レポートでは、世帯を純金融資産の保有額に応じて、「富裕層」から「マス層」までの5段階に分類しています。
この分類では、純金融資産を1億円以上保有する世帯を「富裕層」、さらに5億円以上を保有する世帯を「超富裕層」と位置づけています。
1.1 日本に「富裕層・超富裕層」はどれくらいいるの?
富裕層と超富裕層を合わせた資産家世帯は、日本に165万3000世帯存在します。
これは、全世帯のおよそ3%にあたります。
- 超富裕層(5億円以上):11万8000世帯/135兆円
- 富裕層(1億円以上5億円未満):153万5000世帯/334兆円
- 準富裕層(5000万円以上1億円未満):403万9000世帯/333兆円
- アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満):576万5000世帯/282兆円
- マス層(3000万円未満):4424万7000世帯/711兆円
また、これら富裕層・超富裕層が保有する純金融資産総額は469兆円にのぼります。
全世帯の純金融資産保有額1795兆円のうち約26%が、上位約3%の世帯に集中していることが読み取れます。
2. 【富裕層・超富裕層】日本の「お金持ち」は増加傾向に
「富裕層」「超富裕層」について、2005年以降の保有資産額や世帯数の推移を見ると、一時的に減少した局面はあるものの長期的には増加傾向にあります。
特に2011年以降は、世帯数・資産規模ともにおおむね右肩上がりで推移しています。
富裕層と超富裕層が保有する「純金融資産の合計額」の推移を確認してみましょう。
- 2011年:188兆円
- 2013年:241兆円
- 2015年:272兆円
- 2017年:299兆円
- 2019年:333兆円
- 2021年:364兆円
- 2023年:469兆円
直近10年となる2013年から2023年を比べると、これら2層が保有する純金融資産の総額は約72%も増加しています。
3. 【3つの背景に着目】なぜ日本で「富裕層・超富裕層が」増加傾向に?
なぜ日本では富裕層が増え続けているのでしょうか。
その背景として考えられる要因をいくつか整理してみます。
3.1 富裕層が増えている背景1:国内外の株価上昇
まず挙げられるのが、「国内外における株価の上昇」です。
米国の株式市場では、「ダウ工業株30種平均」や「S&P500」などの主要指数が示すとおり、短期的な上下はありつつも、長期的には上昇基調を維持してきました。
こうした株高は米国に限らず、世界的な動きといえます。
富裕層は、一般的な世帯と比べて株式の保有額が多く、また資産全体に占める株式の割合も高い傾向があります。
そのため、世界規模で続いてきた株価上昇が、富裕層の資産を大きく増やす要因の一つとなってきたと考えられるでしょう。
3.2 富裕層が増えている背景2:資産形成機会の拡大
2つ目の要因として考えられるのが、「非課税投資制度の拡充によって、資産形成の機会が広がったこと」です。
代表的な制度には、「NISA(少額投資非課税制度)」や「iDeCo(個人型確定拠出年金)」といった税制優遇制度があります。
NISAは2014年に導入され、その後制度改正を経て、2024年からは「新NISA」として運用されています。
このように、非課税で投資できる枠が拡大してきたことで、個人が資産形成に取り組みやすい環境が整ってきました。
かつては投資に関心がなかった人でも、NISAをきっかけに運用を始めたケースもあるでしょう。
資産運用は利益が期待できる一方で、価格変動リスクや元本割れリスクなどが伴いますが、一定の成果を得ている世帯もあると考えられます。
3.3 富裕層が増えている背景3:相続や贈与によるもの
3つ目の要因として考えられるのが、相続や贈与を通じた資産の引き継ぎです。
日本では少子高齢化が進む中で、相続人の数が限られるケースが増え、一人あたりが受け取る遺産の金額が大きくなりやすい傾向にあります。
その結果、もともと富裕層ではなかった一般的な家庭であっても、親や祖父母からの相続をきっかけに多額の資産を保有し、富裕層に分類されるケースも少なくありません。
このように、株式市場の好調、資産形成の機会拡大、そして資産承継といった複数の要因が重なり合い、富裕層の増加につながっていると考えられます。
本人の意思とは別に、こうした環境変化の結果として富裕層となった人も含まれているでしょう。
4. 【初心者必見】資産運用で「資産を増やす」ための3つのポイント
では最後に、資産運用で「資産を増やす」ために意識したい3つのポイントを紹介します。
4.1 ポイント1:小さく始める(積立投資や少額投資)
資産運用を始める際に重要なのは、背伸びをせず、長く続けられるやり方を選ぶことです。
最初から大きな金額を投じる必要はありません。
毎月5000円や1万円など、家計に負担のかからない金額から積立投資を検討するのも1つの選択肢となります。
新NISAやiDeCoといった税制優遇制度を上手に活用することで、無理をせず、効率的な資産形成につなげることが期待できるでしょう。
4.2 ポイント2:分散投資でリスクを減らす
投資先を一つに限定せず、複数の資産に分けて投資することも大切です。
たとえば、保有している資産全体のバランスなどを考慮したうえで、株式や債券、不動産、投資信託などを組み合わせることでリスクの偏りを抑えることが期待できます。
とくに投資を始めたばかりの人であれば、世界各国に幅広く分散投資ができるインデックスファンドから取り組んでみるのも一つの方法でしょう。
ただし、資産運用は利益が期待できるだけでなく、価格変動リスクや元本割れのリスクなどが伴います。
投資先の特徴をよく理解したうえで、家計やリスク許容度に合った選択を心がけてください。
4.3 ポイント3:長期目線でコツコツ続ける
資産運用は、短期間で大きな利益を得ることを目的とするものではなく、長い時間をかけて積み重ねていく姿勢が重要です。
実際に、多くの富裕層もリスクを抑えた運用を意識しながら、長期的な視点で資産形成に取り組んでいます。
長い期間にわたって続けることで複利の効果が少しずつ発揮され、資産形成を進められる可能性があります。
5. 資産形成を目指す場合は、今の家計収支や年金の見込額にも目を向けよう
今回は、日本の富裕層の世帯割合や、富裕層が増加傾向にある要因について解説しました。
株式会社野村総合研究所の調査では、富裕層(1億円以上5億円未満)と、超富裕層(5億円以上)の割合は約3%となっています。
世帯数は少数派ですが、全世帯の保有資産額のうち、約26%は富裕層と超富裕層世帯に集中していることが読み取れます。
富裕層が増加傾向にある背景として、国内外の株価上昇や資産形成機会の拡大、相続や贈与などが要因として考えられます。
物価高が続いていることも踏まえたうえで、「資産形成」に着目するのも1つの選択肢となるでしょう。
今の生活だけでなく将来の暮らしも意識しながら、家計に合った資産形成について考えてみてはいかがでしょうか。
まずは、今の家計収支や年金の見込額を確認しておくことも大切です。
受給できる公的年金額には個人差があります。
年金情報については、日本年金機構の「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」でご確認いただけます。
資産形成の選択肢として資産運用を検討する際は、生活費ではなく「余剰資金」を活用するよう心がけましょう。



