暑さが続く中にも秋の気配が漂い始めました。季節の変わり目は、これからの暮らしについて考える良いタイミングです。70歳を迎える頃には、多くの人が年金収入を中心に生活を営むことになりますが、その収入だけで安心して暮らせるのでしょうか。

しかし、現実には年金だけでは生活が厳しいと感じる世帯も少なくありません。

総務省の「家計調査」や金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」によれば、70歳代の貯蓄額には大きな差があり、また医療や介護などの負担が増える時期でもあります。

本記事では、70歳代シニア世帯の貯蓄状況と、年金だけで生活が難しい場合に利用できるサポート制度について整理します。

1. 70歳代シニアの貯蓄の実態

J-FLEC(金融経済教育推進機構)の最新調査によれば、70歳代の二人以上世帯における平均貯蓄額は約1923万円、中央値は約800万円とされています。

ただし、「貯蓄ゼロ」の世帯が20.8%と、約5世帯に1世帯は経済的に厳しい状況にあることも見過ごせません。

平均値はあくまで全体像を示すものであり、すべての世帯が潤沢な資産を築いているわけではないのです。平均値だけを見て「自分も70歳代になったらこのくらい貯蓄があるだろう」と安易に安心するのではなく、ご自身の家計の状況を正確に把握することが不可欠です。