3.5 介護保険サービスと負担軽減策
要介護認定を受けた場合、訪問介護やデイサービスなどを1割〜3割負担で利用できます。
さらに低所得者には「高額介護サービス費制度」があり、介護費用の上限を超えた分は払い戻されます。介護負担が家計を圧迫するのを防ぐ重要な支援策です。
【サービスと自己負担】
- 要介護認定: まず、市区町村に申請して「要介護認定」を受ける必要があります。
- サービス: 要介護度に応じて、訪問介護、デイサービス、特別養護老人ホームへの入所など様々なサービスを利用できます。
- 自己負担: 利用料は、原則1割(所得に応じて2割または3割)の自己負担です。
【負担軽減策】
- 高額介護サービス費制度: 1ヶ月の介護サービス費の自己負担額が、所得に応じた上限額を超えた場合、超過分が払い戻されます。これは、医療費の高額療養費制度の介護版と考えると分かりやすいです。
- 高額医療合算介護サービス費制度: 医療費と介護サービス費の両方を合わせた自己負担額が、所得に応じた上限額を超えた場合に払い戻しが受けられます。病気と介護が同時に必要な場合でも、家計の負担を軽減します。
◆ポイント◆
- 介護保険は40歳以上が加入義務: 40歳以上の国民は、介護保険料を支払う義務があります。
- 介護サービス計画(ケアプラン)が重要: どのようなサービスをどのように利用するかは、ケアマネジャーが作成するケアプランに基づいて行われます。
4. まとめにかえて
70歳代の貯蓄額には大きな差があり、年金収入だけでは不足を感じる人も少なくありません。
しかし、各種の公的支援制度を組み合わせて利用することで、生活の安定につなげることができます。
制度は申請しなければ受けられないものが多いため、自分や家族が利用できるかどうか、早めに確認しておくことが大切です。
参考資料
- J-FREC 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
- 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
- 厚生労働省「住宅確保給付金について」
和田 直子