5. 厚生年金・国民年金、どちらでも起こり得る
8月の手取り額の変動は、厚生年金・国民年金どちらの受給者にも起こり得ます。
ただし、年金額の大きい厚生年金受給者の方が住民税の課税対象になる傾向が強いため、変動の影響を受ける可能性はやや高めです。
また、年金を複数受給している方(例:老齢厚生年金+老齢基礎年金)は、合算額で課税対象となるかどうかが決まるため、その点にも注意が必要です。
5.1 自分が該当しているかどうか確認するには?
「私の振込額、なぜ変わったの?」と思ったら、まず以下の書類を見てみましょう。
- 住民税決定通知書(6月ごろに市区町村から届く)
- 年金振込通知書(年金機構から年2回:6月・10月頃に届く)
- 前年の収入がわかる書類(源泉徴収票、確定申告書など)
これらを確認することで、住民税の増減が手取り額に影響しているかどうかがわかります。
6. 4月の年金改定とは違う動きなので注意
「年金の支給額って毎年4月に変わるはずなのに、どうして8月に…?」と思った方もいるかもしれません。
ここで重要なのは、4月の年金額改定(制度による額面調整)と、8月の手取り額変動(税金の影響)は別物だという点です。
年金の受給額は毎年見直しが行われており、2025年度の年金額は1.9%増額となりました。2025年6月13日(金)に増額改定分の初回支給が行われています。
4月に変更されるのは制度上の支給額、8月に変わるのは個人ごとの住民税による手取り額。似ているようで、全く異なる理由で変化しています。
7. まとめにかえて:手取り額の変化は「前年の自分の収入」がカギ
年金の支給額が変わったわけではないのに、振込額が上下する。その理由は、多くの場合前年の収入や所得によって変わった住民税の天引き額にあります。保険料も同様です。
もし「急に減った」「なぜか増えた」と感じたときは、通知書や前年の収入を確認してみましょう。
不明点がある場合は、市区町村の税務担当窓口や、年金事務所に相談することをおすすめします。
参考資料
- 日本年金機構「年金振込通知書」
- 総務省「納税義務者用の特別徴収税額決定通知書の記載内容の秘匿」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
マネー編集部年金班