2. ケース1:遺言書がなく、兄弟姉妹で遺産分割でもめる
最も多いのが、被相続人(亡くなった方)が遺言書を残しておらず、法定相続人が複数いる場合です。
たとえば親の死後、兄弟姉妹で遺産の分け方をめぐって争いになるケースが典型です。
「あのとき長男だけに援助していた」「面倒を見たのは私だ」など、感情的な対立がエスカレートしやすく、家庭裁判所での調停に発展することも少なくありません。
2.1 例:長男が「家督」を主張し、相続を独占しようとする
このケースに絡み、かつての家制度の名残から、長男が「実家を守るのは自分だ」として、他の相続人に遺産を分け与えようとしないケースもあります。
特に地方では、土地や家屋を継ぐ者が家全体の財産も相続すべきだと考える傾向が残っており、それがトラブルの原因になります。
しかし現代では、法的にも平等な分割が原則であるため、他の相続人が納得できず紛争に発展しやすいのです。
3. ケース2:不動産が財産の大部分を占める
現金や金融資産と異なり、不動産が財産の大部分を占めるケースもトラブルになりがちです。
不動産は分けにくく、評価も分かれやすい資産です。
特に都市部の土地は高額になりやすく、相続人の一部が「住み続けたい」と願う一方で、他の相続人は「現金での取り分が欲しい」と主張するため、対立が生じやすくなります。
3.1 例:実家に同居していた長男と、遠方に住む姉との相続対立
長男が実家に住み続けたいと願っても、姉が法定相続分を現金で要求した場合、土地の売却が避けられず、関係悪化に繋がるというケースもあります。