4. 老後に向けて私たちができること
老後に向けて私たちができる準備として、年金以外の資産づくりが考えられます。
たとえば、自分で運用して積み立てていく年金制度である「iDeCo」を活用すれば、公的年金とは別に年金を用意できます。iDeCoは月5000円から掛金を拠出でき、個人事業主、会社員、専業主婦(夫)などどのような人でも利用することが可能です。掛金はすべて所得控除の対象になるため、税金を減らせるのがメリットです。
加えて、運用益は非課税となり、受け取り時も一定額までなら税金がかかりません。受け取り方は年金形式のほか、一時金形式での受領も可能です。老後のプランにあわせた受け取り方ができるでしょう。
ただし、iDeCoでは原則60歳まで運用しているお金を引き出せません。余裕資金で掛金を拠出するようにしましょう。
また、NISAの活用もおすすめです。
NISAは少額から投資ができる制度で、運用益が非課税になるのが特徴です。通常は20.315%の所得税や住民税などがかかりますが、NISA口座で運用したお金については、それらがかからないため、売却時は運用益がそのまま手元に入ってきます。
2024年からは口座の保有期間が恒久化され、非課税で運用したお金を保有できる期間も無制限となりました。これにより老後も資産運用を続けられ、少しずつお金を取り崩しながら運用を続けられるでしょう。
なお、NISA口座は1人1つまでしか保有できません。また、非課税で保有できるお金は1800万円までで、それ以降の資産については課税対象となる点に注意しましょう。
5. 年金以外の備えを忘れずに
公的年金は国民の老後生活を支える重要な制度です。しかし、物価や賃金によって変動するため、年によっては減額される可能性もあります。現役のうちから保険料を払い続けたにもかかわらず、減額されるとなると、納得しにくいと考える人もいるでしょう。
年金以外の資産をつくれば、公的年金の増減に影響されずに家計のやりくりが可能です。お金を運用してつくった資産はインフレにも強く、豊かな老後生活を過ごせる可能性を高められます。年金以外の備えを用意して、万全の状態で老後生活を迎えられるようにしましょう。
参考資料
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「マクロ経済スライド」
- 厚生労働省「年金制度基礎資料集」
- 金融庁「NISAを知る」
石上 ユウキ