総務省「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」によれば、65歳以上の年齢階級別就業率は65~69歳52.0%、70~74歳は34.0%、75歳以上は11.4%といずれも過去最高です。

60歳代後半でも就業率が半分を超える今、「老後は70歳から」という方もいるでしょう。

一口に「老後」といっても、その生活費は年代によって変わるもの。今回は60歳代後半、70歳代前半、75歳以上に分けてその生活費をみるほか、60~70歳代の貯蓄額、また厚生年金と国民年金の5歳刻みの平均年金月額をみていきます。

均を見ながらご自身の老後生活について考えていきましょう。

1. 【65~69歳・70歳以上】月の生活費はいくら?

まずは3月11日に公表された総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」より、60歳代後半、70歳代前半、75歳以上に分けて生活費をみていきましょう。

1.1 65~69歳・70歳代以上の実収入

  • 65~69歳:30万7741円(うち社会保障給付21万6915円)
  • 70~74歳:27万5420円(うち社会保障給付21万7558円)
  • 75歳以上:25万2506円(うち社会保障給付20万7623円)

収入をみると、どの年代も年金は21万円前後とあまり差がありません。ただし実際には後述しますが、年金は加入状況により個人差が大きいので必ず自身の場合を確認しましょう。

年代ごとに差が出るのはそのほかの部分で、60歳代後半は収入全体が30万円を超えますが、70歳代では27万円台、75歳以上は25万円台と、収入が低くなっているのが特徴的です。

1.2 65~69歳・70歳代の支出合計(非消費支出・消費支出)

  • 65~69歳:35万2686円(4万1405円、31万1281円)
  • 70~74歳:30万3839円(3万4824円、26万9015円)
  • 75歳以上:27万3398円(3万558円、24万2840円)

支出をみると大きな差が見られており、60歳代後半は35万円台。月の赤字は約4万5000円となっています。

消費支出が70歳以上と比べると約4~7万円ほど高くなっているとわかります。月にしてこれだけの差が見られるのですね。

70歳代前半と75歳以上は消費支出が60歳代後半に比べると低いです。とはいえ、消費支出だけでも月25万円前後。

税金や社会保険料の非消費支出とあわせれば20万円台後半~30万円台半ばが65歳以上の支出合計となります。年金だけでは足りず、赤字となるご家庭も少なくないでしょう。