6. 老後に向けた準備とは

年金受給者の「確定申告不要制度」について見ていきました。

多くの年金受給者は申告が不要ですが、一部で申告が必要となるケースもあります。

老後に向けた準備として一番に思いつくのは「預貯金」かもしれませんが、こうした制度を理解することも重要となります。

入ってくるお金を増やすことは難しくても、確定申告によって「所得税の還付」が受けられる場合、出ていくお金を抑える効果もあるからです。

また、一部では「申請しないと受け取れない給付金や助成制度」が国や自治体で実施されているケースもあります。

これらも知らなければ漏れてしまうため、正しい情報をしっかり身に着けておきたいですね。

【編集部よりご参考】申請しないともらえないお金の例:年金生活者支援給付金

申請しないともらえないお金の例として、年金生活者支援給付金の概要をご紹介します。

年金生活者支援給付金の支給金額

年金生活者支援給付金の支給金額

出所:厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」をもとにLIMO編集部作成

年金生活者支援給付金は、年金収入やその他の所得が低い人を対象に、毎月の年金に上乗せして支給される給付金です。

給付基準額は、物価の変動に応じて年度ごとに改定がおこなわれており、2025年度の基準額は前年度から2.7%引き上げられることが決まっています。

  • 老齢年金生活者支援給付金の基準額(月額):2024年度5310円・2025年度5450円

なお、実際に支給される年金生活者支援給付金の月額は、上記の給付基準額に基づき、保険料納付済期間等に応じて計算されます。

参考までに、2024年3月における平均給付月額は以下の通りです。

老齢年金生活者支援給付金の平均給付月額(2024年3月)

老齢年金生活者支援給付金(令和6年3月)

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況

  • 70歳未満:4691円
  • 70~74歳:4187円
  • 75~79歳:3930円
  • 80~84歳:3835円
  • 85~89歳:3883円
  • 90歳以上:3952円

なお、前年の年金収入額とその他の所得額の合計が「1956年4月2日以後生まれで78万9300円を超え88万9300円以下である人」「1956年4月1日以前生まれで78万7700円を超え88万7700円以下である人」には、計算式1に一定割合を乗じた「補足的老齢年金生活者支援給付金(※)」が支給されます。

参考資料

太田 彩子