5. 年金だけで生活できている人は半数以下⁈
厚生労働省の「2023年 国民生活基礎調査」では、年金受給者の実態を伝えています。
データからわかるのは、年金を受け取っている人の半数以上が、年金だけでは生活できていないということ。
年金収入だけで100%生活している世帯は全体の41.7%。
残りの約6割の人々は年金だけでは生活が成り立たず、何らかの追加収入や貯蓄の取り崩しが必要なようです。
今年は5年に一度の「年金財政検証」が行われ、この検証によると、現役世代が年金を受け取る頃には支給額が今よりも減る可能性が高いこともわかっています。
もはや「年金だけでなんとかなる」と考えるのは甘いのかもしれません。
若い世代ほど時間的な余裕があります。少額からでも長期的な視点で資産形成を始めのもよいでしょう。
例えば、iDeCo(個人型確定拠出年金)、つみたてNISAなどの税制優遇制度を活用した資産形成や、個人年金保険、貯蓄など、老後資金を準備する方法を検討するのも賢明です。
6. 低収入の年金生活者が対象の「給付金」もチェック
ここまで、公的年金制度のしくみ・平均月額・年金受給額の個人差について確認してきました。
なお、低所得の年金受給者には「年金生活者支援給付金」が支給される可能性があります。これは、公的年金に上乗せして支給される給付金です。
例えば、老齢基礎年金を受給する人の場合、一定の要件を満たせば老齢年金生活者支援給付金として、月額5000円程度(2024年度では5310円を基準として、保険料納付済期間や保険料免除期間によって決まる)が支給されます。
2023年3月においては、以下のとおり支給がされました。
- 総数:460万6538件、平均3930円
- 70歳未満:45万1549件、平均4528円
- 70~74歳:70万20件、平均4057円
- 75~79歳:81万8467件、平均3815円
- 80~84歳:93万525件、平均3778円
- 85~89歳:85万266件、平均3816円
- 90歲以上:85万5711件、平均3902円
年金生活者支援給付金は、年金だけで生活が成り立たない人々を支援するためのものですが、給付金だけで生活が安定するわけではありません。
自分がどのような老後生活を過ごしたいのかを考え、自分にあった方法で老後資金の準備を進めることが重要です。
本記事をきっかけに、将来の生活設計を考えてみてはいかがでしょうか。
7. まとめにかえて
物価が上昇しているなか、預貯金を銀行に預けていても資産の増加は見込めません。そこで少額からできる資産運用を検討してみるのもよいでしょう。
2024年から始まった新NISAやiDeCo(イデコ:確定拠出年金)等を活用してみましょう。資産運用のため元本割れするリスクはありますが、リスクを分散させることにより効率よく資産を増やす期待がもてます。
今回をきっかけに公的年金のみに頼るだけでなく、自ら将来資金を形成する方法について考えてみてはいかがでしょうか。
参考資料
野平 大樹