高額療養費制度は、保険医療機関の窓口で支払う医療費を一定額以下に抑えることを目的とした「公的医療保険制度」の給付の1つです。

この制度があるおかげで、日本ではたとえ医療費が100万円かかった場合でも、自己負担額は実質8万円台に収まり、非常にありがたい仕組みといえます。

しかし、この高額療養費制度について、政府は、医療費が高額となる患者の自己負担額を引き上げる方針を明らかにしました。

本記事では、高額療養費制度の自己負担額の引き上げについて解説していきます。

現行の高額療養費制度において、よくある勘違いケースについても紹介しているので、あわせて参考にしてください。

1. そもそも「高額療養費制度」とは?どんな時に使う?

【写真全4枚中1枚目】自己負担額が大幅に抑えられる制度「高額療養費制度」

聴診器と計算機

Valery Evlakhov/shutterstock.com

病院での治療や薬の受け取りには、通常、公的医療保険が適用されるため、患者が負担する医療費は全体の3割程度に抑えられます。

つまり、国民健康保険といった医療保険に加入していれば、1万円の治療費が3000円の負担で済むのです。

しかし医療費が高額になった場合、3割の自己負担額でも依然として大きな負担になることがあります。

たとえば、100万円の医療費が発生した場合、30万円を自己負担する必要があり、これは家計にとって大きな負担となるでしょう。

こうした経済的負担を軽減するために設けられたのが「高額療養費制度」です。

この制度を利用することで、一定の条件のもとで自己負担額が大幅に抑えられる仕組みとなっています。