4. 手取り年金額と生活支出額を比較
先ほどのシミュレーションでは、年金月額が14万6429円の人からは、2万円に近い金額が差し引かれ12万8480円が手元に残りました。
この金額で、月あたりの生活支出を賄えるのでしょうか。手取り年金額と、総務省の「家計調査」で公表されている毎月の平均消費支出額の収支を見てみましょう。
4.1 単身世帯
- 手取り年金月額:12万8480円
- 消費支出:14万5430円
- 収支:△1万6950円
4.2 夫婦世帯(夫は厚生年金、妻は国民年金の平均月額を受給)
- 手取り年金月額:17万5317円
- 消費支出:25万959円
- 収支:△7万5642円
4.3 夫婦世帯(夫婦とも厚生年金の平均月額を受給)
- 手取り年金月額:25万6960円
- 消費支出:25万959円
- 収支:6001円
夫婦世帯が2人とも厚生年金の平均月額を受給して、ようやく収支がプラスになる結果となりました。専業主婦世帯では差額が約7万円となっており、資産の取り崩しは必須です。
単身世帯でも毎月1万6950円の赤字となります。どの世帯でも年金だけで生活していくのは大変難しい状況だといえるでしょう。
5. まとめ
年金の平均額は14万円台ですが、手取りは12万円台と約2万円が手元から差し引かれていきます。
年金だけで家計をやりくりすれば赤字が続き生活に苦しんでしまいます。年金に頼らない資産づくりが、若いうちから求められているのです。
参考資料
- 厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 国税庁「高齢者と税(年金と税)」
- 日本年金機構「年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税を特別徴収されるのはどのような人ですか。」
- 東京都主税局「個人住民税」
- 新宿区「保険料の計算方法について」
- 新宿区「介護保険料の決まり方」
- 総務省「家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2023年(令和5年)平均結果の概要」
石上 ユウキ